新『iPod touch』の登場はほぼ確実? ゲーム特化機となる可能性も
先月末、Appleが開発者向けに配信したiOS12.2のベータ版に、新型『iPod touch』の存在を示唆するコードが確認された。『iPod touch』は初代iPhoneと同年に発売されて以降、安価なスマートデバイスとしてアップデートが続けられていたが、第6世代が2015年7月に発売されて以降アップデートされておらず、4年前の製品が現行機種として今も販売されている。ここでは、新型『iPod touch』の性能・発売時期を予想してみよう。
現行機種はすでに過去のデバイス
現在Appleが販売している第6世代『iPod touch』が発売されたのは2015年。CPUには、翌年販売された『iPhone 6』と同等のA8チップを搭載している。Appleの公式WEBサイトを見る限り、Appleはこのデバイスを「音楽」「ゲーム」のプラットフォームとして普及させようとしているのがわかる。
『iPod touch』のWEBページ。『iPod』の名を冠するデバイスとして音楽の視聴体験をプッシュするとともに、ゲームのプレイにおいては「究極のモバイルゲーム体験」をもたらすと記載されている。
しかし、第6世代『iPod touch』が発売されてからの4年間でモバイルゲームは急速に進化し、同時にデバイスへの要求スペックも高くなっている。『iPod touch』のスペックと、Appleが現在販売している『iPhone』のスペックと比べると、その差は歴然だ。例えば最新の『iPhone XR』はCPUに6コアのA12 Bionicを採用しており、こちらのプロセスルールは8nm。対してA8は2コア、プロセスルールは20nm。5年の間で半分以下に抑えられたプロセスルールは演算性能の証である。また、搭載メモリにも3倍の開きがあり、この4年でスマートデバイスが急激に進化したことを理解できる。『iPod touch』において、Appleが謳う「究極のモバイルゲーム体験」はもはや遠い過去のものになってしまった。
4年の間に起きた革新はめざましく、もはや『iPod touch』は過去のデバイスとなってしまったのだ。
新型『iPod touch』は『iPad』とともに発売か?
求められる性能と、市場におけるポジションから新型『iPod touch』のスペックを予想してみよう。まずハードウェア性能が最新、または1世代前の性能まで引き上げられるのは確実だろう。A12・A11世代のいずれかのCPU、1200万画素のカメラ、2GB以上のRAMを搭載し、これまでの製品の傾向から見て画面は大型化、Face IDを搭載する可能性が高い。
市場のポジショニングを考えると、『iPod touch』が引き続き「音楽」「ゲーム」に特化した端末となる場合、趣味性の高いデバイスとなり、『iPhone』『iPad』のようなスケールでの売れ行きを見込むことは難しいだろう。また、現行機種の価格を考えても、比較的安価なデバイスになると思われる。対して最新CPUはコストも高く、いきなり生産数を確保するのも難しい。そのため1世代前のCPUであるA11を採用した、「Face IDを搭載する『iPhone 8』」に酷似した性能になるのではないだろうか。
またiOS12.2のベータ版には新型iPadの記述もある。『iPad』はここ数年毎年3月に発表されているため、早ければ来月、「A11を搭載した『第7世代iPad』または『iPad mini 5』の発売」・「iOS12.2のリリース」これらに合わせて「新『iPod touch』を発表」という予想もできる。Appleの続報を待ちたい。
■白石 倖介
テック系月刊誌の編集者を経て、フリーライターとして活動中。Mac・iOSに詳しい。最近の興味対象は人工知能・VR・メディアアートなど。趣味は風景撮影。主にTwitterにいます。Twitter/Blog