2018年のモバイル業界の流れから読み解く2019年、スマートフォンのトレンドとは?

 2018年もあっという間に終わり、迎えた2019年。昨年の3月に2018年のスマートフォントレンド予想記事公開したが、予想はどれほど的中しただろうか。まずは2018年のトレンド予想をざっくりと振り返ってみる。

2018年のトレンドはなんだった?

 箇条書きではあるが簡単にまとめてみた。

・画面分割に最適な18:9のアスペクト比(縦長ディスプレイ)
・AIを搭載したスマートフォンが増える
・セルフィーにも力を入れるメーカーが増える
・生体認証が画面内指紋センサーや顔認証など種類が増える
・ミドルレンジ帯スマートフォンの活躍が増える
 
 ほとんどの予想は的中しており、18:9のアスペクト比どころか更に縦長な19:8のアスペクト比を実現したスマートフォンも数多く登場した。16:9の従来のディスプレイを搭載した機種はほぼ消えたといってもいいだろう。

 生体認証については顔認証や虹彩認証の劇的な進化は見受けられなかったものの、画面内埋め込み指紋センサーが2018年の終わりにかけて徐々にではあるが登場し始めた。2017年から2018年のスマートフォンの劇的な進化を遂げたが、2019年は大きなインパクトがある進化を遂げるのは少ないと見ている。

 2018年のモバイル業界の流れから2019年のトレンドを予想していこう。

ノッチの排除に向けて

 2018年はスマートフォンのベゼルを極限まで削り込み、ディスプレイの没入感を高めようと各メーカーが力を入れてきた。いわゆるスマートフォンのフルディスプレイ化だ。

 Galaxy S8が先陣を切るかのようにフルディスプレイへの第一歩を歩んだが、この流れに乗じたのがAppleのiPhone Xである。iPhone Xは伝統のホームボタンを排除し、生体認証に「Face ID」と呼ばれる顔認証システムを取り入れた。ホームボタンを排除したことでかつてホームボタンだった場所がディスプレイの表示域として活用できるようになった、

 一方でホームボタン排除のなかで弊害も生まれた。あの美しいとは言い難いノッチである。顔認証を搭載するにはインカメラや各種センサーが必要となる。当然、ディスプレイ内にインカメラを埋め込む術もないため、ディスプレイ中央上部を切り欠けにし、インカメラなどを配置するスペースを確保したのだ。

 せっかく視認性がよくなり表示域も増えたのに、あのノッチがどうしても気になる。没入感を阻害してしまう邪魔者になってしまった。

 多くのメーカーはAppleのノッチ型のフルディスプレイに追従していった。そのため、2018年に登場したスマートフォンの多くがノッチを搭載している。

(出展:Oppo Find X / OPPO JAPAN

 筆者が考えるに、メーカー自身もノッチについて好んで搭載しているようには思えない。メーカー各社が考えるフルディスプレイの理想はノッチすらなく、手に持ったときにベゼルすら見えない全てがディスプレイであることだろう。

 2018年は、その理想に向けて中国メーカーが奮闘した。Oppoは「Find X」、Xiaomiは「Mi Mix3」、HONORは「Honor Magic 2」、Vivoは「Vivo NEX」といった具合に前面ディスプレイにインカメラ自体を排除。インカメラは特別な機構を使って収納し、工夫をこらしていた。

 2019年はこの「ノッチ」を極力排除するために、多くのメーカーが力を入れる項目であることは間違いないと見ている。既にサムスンやHONORでは前面ディスプレイの左上隅にパンチホールで穴を開けたような小さなインカメラを搭載するなどし、理想のフルディスプレイに向けて試行錯誤中だ。

生体認証の進化

 画面内指紋センサーは2018年の後半になって登場(販売)した製品だけに、まだまだ発達途上であることは確かだ。従来の指紋センサーでは汗などで指先が濡れていると反応しにくい、指紋センサーが汚れていると認識率が落ちるといった問題があったが、画面内指紋センサーではこれとは別の問題も生じている。

 それは夜暗すぎると指紋の認識率が落ちてしまうということだ。画面内指紋センサーは光学式の指紋センサーで光の屈折を利用して指紋を読み取っている。虹彩認証や顔認証は赤外線カメラなどを活用して暗所での認識率を高めているが、それでもまだ欠点がある。それを補うために指紋センサーが別に搭載しているケースもあるため、暗所で認識率が落ちてしまっては元も子もなくなってしまう。

 2019年ではこのあたりが大きく改善されるだろう。クアルコムは既に画面内指紋センサーに新しい方式を採用することを発表。「3D Sonic Sensor」と呼ばれるものだ。これは超音波式の指紋センサーで認識率や認識速度が大幅に改善されると見ている。画面内指紋センサーの普及は2019年でかなり加速することが予想され、さらにはディスプレイの下半分どこでも指紋センサーとして認識するなんてことも夢ではないだろう。

(出展:UQ mobile

カメラの一本化

(出展:HUWAEI Mate 20 Pro / HUAWEI JAPAN

 2018年もカメラは大きな進化を遂げた。ただキレイに撮影するだけではなく、接写撮影や暗所に強いカメラ、広角カメラなど同じスマートフォンでも実に多様化したカメラが今まで以上に登場した年でもあっただろう。

 2019年ではカメラの多様化から逆に一本化が進むと予想している。HUWAEIがモノクロセンサーとRGBセンサーを組み合わせたデュアルカメラを登場させてから3年が経とうとしている。

 HUAWEI Mate 20 Proではついにモノクロセンサーをなくし、広角カメラに切り替えた。HUAWEI Mate 20 Proは接写もできて、望遠撮影もできて、広角撮影もできる優等生だ。サムスンのGalaxy A9も同じく4つのカメラを搭載した。これも広角撮影も、望遠撮影もできる優等生である。

 今までの多くは望遠撮影を取るか、広角撮影を取るか2つに1つしか選べないことが多かったが、2019年ではこのカメラの多様化が少なくなり1つのスマートフォンで全てをこなせるオールラウンダーになれるだろう。

通信の高速化

 スマートフォンはインターネットに繋がる。2019年は次世代通信規格の5Gに対応したスマートフォンが数多くお目にかかれるだろう。ただし5Gが普及するのには時間を要するため、プレミアムモデルのみ対応だったり、後々のアップデートで対応します的な形で登場すると見込んでいる。

 また通信関係では、2019年10月にRakuten Mobileが移動体通信事業者に新規参入予定で、こちらも目が離せない。

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