App Storeの謎のアプリゲームを片っ端からプレイしてみたら、少しだけ幸せになれた

 App StoreやGoogle Playには個人制作ゆえのリソース不足なのか、それとも単に真面目に開発する気がないのか、拍子抜けしてしまうようなクオリティのゲームアプリが数多く存在する。

 だが、一見クソゲーにしか見えないアプリでもプレイしてみれば意外と面白いものもあるかもしれない。だとすれば、面白いながらも運悪く日の目を見ないゲームを掘り出さなければならない。アプリストアの闇の奥に、未来の宮本茂や小島秀夫が潜んでいるかもしれないのだから。

 この記事ではApp Storeの新着ゲームアプリを辿り、実際にプレイしたうえで特に印象に残ったものを部門ごとに取り上げる。紹介するどのアプリも某麦わら海賊団並に個性的なキャラを持っているので、(面白いかどうかは保証しないが)気になったものは遊んでみてほしい。

くだらなさ部門受賞 「トルネードロボット大戦の変換」

くだらないポイントその1 操作するロボットがどう見てもバンブルビーのパチモン
くだらないポイントその2 竜巻にトランスフォームできる
くだらないポイントその3 竜巻になるのが強すぎて他の攻撃コマンドの存在感が皆無
くだらないポイントその4 App Storeの説明文が長いうえに頭に入ってこない

App Storeの説明文

 トランスフォーマーに激似のロボットを操作するゲームは他にもあったが、その中でも竜巻にトランスフォームするという荒唐無稽さとそのアイデアに衝撃を受けた。パクりたいのかオリジナリティを出したいのか、どちらかにしてほしいものである。

意外と面白かった部門受賞「ぱちぱち手持ち花火」

 手持ち花火をシミュレーションするだけの、ゲームと呼べるのかすら怪しいアプリでありながら、花火の再現度が高くつい火が消えるまで見入ってしまう(火が消えたあとバケツに捨てるところまで遊べるのも好印象)。

 特にすすき花火の再現度は抜群で、火をつける時も他の人のすすき花火をもらってつける演出があり、小学校時代に親戚の家で過ごした一夏の思い出を回想してしまう。欠点は火が消える瞬間が不自然な点と、深夜に一人でこのアプリを遊んでいるととてつもない虚無感に襲われる点か。

タイトル部門受賞「実ウォータースイミングプール人種」

 今回アプリゲームを探すにあたって、日本語に対応しているゲームをソートして抽出したのだが、アプリストアにはタイトルと説明文だけを多言語対応にしているアプリが山のように存在する。

 そういったアプリのほとんどはタイトルと説明文が翻訳サービスにかけているとしか思えない不自然さで、その不自然さが時に思わぬ味になる。実ウォータースイミングプール人種、じつウォータースイミングプールじんしゅ、口に出して唱えてみるとなんとも言えない趣がある。

アイデア部門受賞「Only Guns」

 海外産アプリゲームは銃でドンパチやる類のものがとにかく多くて食傷気味になるが、「Only Guns」は奇抜なアイデアでマンネリを打破してみせた。なんとこのゲームの世界はピクサーの「カーズ」よろしく、銃が生きていてその辺をウロウロしている。

 キャラクターのビジュアル以外は劣化「GTA」でしかないのだが、銃が独立歩行しているというシュールな光景は一見の価値あり。

狂気部門受賞「puppyromantic」

 子犬のカップルが二人で買い物に行くので、プレイヤーはそのお手伝いをしよう。というアメリカ人の女の子をターゲットにしたであろうアプリだが、主人公の子犬のカップルの造形が不気味すぎる。

 「パラッパラッパー」でも犬を擬人化していたが、全身いかにも犬らしい見た目で二足歩行されたら不安で仕方ない。指輪を買ったり車に乗ったりするわりに服は着ないところに、犬としての矜持を感じた。

虚無部門受賞「虚無育て」

 こちらは他のアプリと違い、ある程度ダウンロードされているゲームだが面白かったので紹介したい。画面上に現れた小さな虚無をタップし続けることで徐々に虚無を大きくしていくゲームで、300・3000・10000とかなり無茶な回数のタップを要求される。

 規定回数タップしていくと画面に「虚空を見て無をゲットしよう!」という、禅問答のようなメニューが表示されるのだが、「なんだいつもの広告見てポイント手に入れるやつか」と思って「虚空をみる」をタップしたところ、本当に何も映っていない画面を見せられた。無をゲットするという哲学的命題に挑戦した意欲作。

 
 「いかがだったろうか」、などと聞くのもはばかられる悪ふざけのような記事を、ここまで読んでくださったみなさんにまずはお礼を申し上げたい。今回紹介できなかったアプリの中にも、ネタにならないが普通に面白いものや、ネタにならないうえに本当につまらなくて怒りが湧いてくるものまで多種多様なゲームがあった。

 こうして人生の貴重な時間を得体の知れぬアプリゲームに費やした結果わかったのは、ゲームで人を楽しませることのハードルの高さと、クソゲーを遊びつづけた後に遊ぶ「フォートナイト」は涙が出るほど面白いということだ。

 この記事を読んで気になるアプリを見つけた方も、ぜひ「フォートナイト」をプレイしてみてほしい。

■脳間 寺院(のうま・じいん)
ゲームライター。京都生まれポケモン育ち、ボンクラオタクはだいたい友達。買ったばかりのNintendo Switchの調子が既に悪い。
Twitter:@noomagame

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