『ジュラシック・ワールド/炎の王国』恐竜たちを現実世界に解き放った技術とは?

 公開から4日で興行収入21億円と前作を上回るヒットを記録し、現在も絶賛上映中の『ジュラシック・ワールド/炎の王国』。ここでは監督を務めたJ・A・バヨナが「蘇った恐竜を目撃するという特別な体験をより充実したものにしたい」という願いを叶えるために用いられたアニマトロニクスに迫りたい。

 アニマトロニクスとはコンピュータによって制御されたロボットに人工の皮膚を覆い、手や足、瞳から動脈の収縮までをコントローラーで操作し、生身の生物を演出する装置。1匹の生物に対し、何人もの操縦者が付きリアルな動きを作り出す。本作ではヴェロキラプトルのブルーを始め多くの恐竜がアニマトロニクスが用いられている。

 制作資料によれば、このアニマトロニクスの技術を担当したニール・スカンランは、CG技術とアニマトロニクスの調和に興味を持ったそう。「アニマトロニクスが、どのシーンにとっても前向きで最善の方法とは限らないと言うと、驚くだろうね」と語るように場面に応じてこれらを使い分けた。

 本作にとっては、「恐竜が実際に存在する」というリアリティを観客に感じさせることが没入感を生むポイントになる。躍動感とともに、自然界に存在する生物進化の文脈すら感じられるよう、アニマトロニクス制作チームと演技チームが一丸となり撮影が行われた。「演技を通じて命を吹き込むよう組織立てられたグループの存在が、アニマトロニクスを本物らしく見せる方法だ」と、スカンランは情熱を持って制作にあたった。

 クレア・ディアリング役を演じたブライス・ダラス・ハワードも「アニマトロニクスの恐竜の出来は素晴らしかったわ」と絶賛。演技の必要がないと制作スタッフたちに冗談を言うほど精巧に作られた恐竜たちに驚いたそう。

 また、オーウェン・グレイディを演じたクリス・プラットはアニマトロニクスを用いることで演技の幅が広がったと話す。「じっとしている恐竜を描く場合、アニマトロニクスの技術で、息遣いやまばたきなど、顔の筋肉を微妙に動かしたりして、凄くリアルに描くことができる。役者として、そのような実際の何かに対して反応できることはありがたい」と話し、実際に襲われるのではないかという恐怖さえも感じたという。

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