中国で急増、ハリウッドも注目の「ロケーションベースVR」 身体ごと没入する体験の可能性

 このように各社がさまざまな角度からLBVRのあり方を提案しているが、新形態であるがゆえに手探りで解かなければならない課題も多い。たとえばVRヘッドセットの多くにおいて、斜視のリスクがあることから13歳未満の子どもの利用が非推奨となっているが、そのような子どももLBVR施設を利用していることだ。これに対し日本ではロケーションベースVR協会がVRコンテンツの利用年齢に関するガイドラインを策定し、事業者に対し指針として提示した。

 また前出のFink氏は、LBVRはリッチな体験である分コンテンツ開発費がかさみ、そのため新規コンテンツ投入を頻繁にはできず、ユーザー側に飽きがきてしまう問題を指摘している。そしてその開発費を利用料金に転嫁すれば、離れてしまうユーザーも出てくるだろう。

 とはいえ重要なのは、現在LBVRが多くのユーザーの心をつかみつつあることだろう。ルールの明確化やコンテンツの多様化、ビジネスモデルといったことは後から付いてくるはずだ。LBVRがVR全体を牽引し、次のイノベーションの核となっていくことを期待したい。

■福田ミホ
ライター、翻訳者。アパレル販売員を経験後、IT企業で経営企画、サービス企画に携わる。2010年からフリーランスとして、ギズモード・ジャパン、cafeglobe、FUZE、GLITTY、WIRED、Precious.jp、FUMIKODA JOURNAL、BeautyTech.jp、BuzzFeed Japanなどで執筆/翻訳。人が技術を使ってよりポジティブな社会・文化を作っていくための触媒となることを目指す。

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