『VIVANT』最終回は“世界のリセット”が起こる? “ノアの方舟”が示す結末を考察

 一方で、エリシャは連れ去った人物を「2人の侍」と明かしており、プリシャの安否を気遣うのなら「会いたい」とは口にしない。エリシャにとっても「テントにプリシャを奪われた」という認識を持っているのかもしれない。

 もう一つ気になるのが、ベキが『ノアの方舟』関連の文献を読み漁っていた点だ。第2シーズンではこれまでも、大洪水後に方舟が漂着したとされる実在のアララト山(トルコ)が、拉致された別班員の輸送エリアの中心地として示唆されるなど、匂わせが続いていた。「ノアの方舟」は、地上に悪がはびこったことを嘆いた神が、洪水によってすべての生き物を滅ぼすことを決意し、唯一正しい心を持つノアとその家族、そして動物たちを方舟に乗せて生き延びさせたという物語である。ベキは「様々な解釈がある」として、学生時代から好んで読んでいるという。

 では、誰が「神」で誰が「ノア」なのか。もしかすると、自身の技術をめぐって争いが起きている現状に対し、プリシャと再会して世界をリセットしようとするエリシャが「神」であるならば、善悪を判断できるジャミーンを「正しい人」とし、彼女を救い出したベキやテントそのものが「方舟」という見方もできる。孤児たちを救うためにテロ組織を率いていたベキの理念は、「ノアの方舟」の思想と強く重なる。

 さらに、ベキが療養している出雲地方には『島根の洪水伝説』が存在し、スサノオノミコトが船で渡来した際に船が止まったとされる山が、島根県奥出雲町と鳥取県日南町の県境にある「船通山」だ。作中では鳥取でG7サミットが開催されている。撃たれてから1カ月という期間、下手に動けばシンシーに狙われるリスクを考えると、ベキたちが乃木らの争いに直接参戦するのは難しいだろう。しかし、もしエリシャとプリシャの再会によって世界が混沌に陥った場合、ベキがG7の場で何らかの働きかけをする展開も考えすぎとは言えない。

 いずれにせよ、ジャミーンの脳にはアゼルバイジャン語が今も刻まれていたことが確認されたので、最後にそのパンドラの箱が開くのか。過酷な状況を鑑みると、エリシャは寿命を迎えそうな気がする。

 第22話のラストでは、ノコル、チンギス、ジャミーン、薫がシンシーに取り囲まれ、絶体絶命のピンチに陥った。その際の部屋の時計は2時前後を指しており、別班の一部隊が2時12分に乃木家へ到着する予定。シンシーが突きつけた猶予は残り5分だが、F状態の乃木や、シンシーに拉致され復讐に燃える別班員たちが救出に動くのだろう。ただし、物語の展開上、ジャミーンが囚われなければストーリーが進まないため、彼女が拉致される可能性は高い。

 当初は、別班の意向に反した乃木の単独行動に対する上層部からの粛清や、乃木を焚きつけた別班員・長野専務(小日向文世)の裏切り説、ノコルの留守中におけるテントの乗っ取り・クーデター、AIハヤトの暴走なども予想されたが、残り2話で消化するのは時間的に厳しい。続編や映画化を見据えてバッドエンドを迎える選択肢も否定はできないが、今作は視聴者が深読みするほどの複雑なプロットよりも比較的シンプルな展開が多いため、最終的にはジャミーンやエリシャの奪還をめぐるシンシーとの決戦で一旦区切りをつけるかたちになりそうだが、果たしてどのような落としどころを考えているのだろうか。

■放送情報
日曜劇場『VIVANT』第2シーズン
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、竜星涼、山中崇、バルサラハガバ・バトボルド、Tsaschikher Khatanzorig、富栄ドラム、林原めぐみ(声の出演)、内野謙太、花岡すみれ、本間さえ、二宮和也、井上順、林遣都、内村遥、井上肇、市川猿弥、市川笑三郎、平山祐介、珠城りょう、西山潤、宮下今日子、Tanapak Jongjaiphar、濱田岳、坂東彌十郎、小日向文世、キムラ緑子、松坂桃李
原作・演出・プロデュース:福澤克雄
プロデューサー:飯田和孝
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/VIVANT_tbs/
公式X(旧Twitter):@TBS_VIVANT
公式Instagram:tbs_vivant
公式TikTok:vivant_tbs

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