イモトアヤコが連ドラ初主演で真価を発揮 『再生のウズメ』で際立つ“受けの芝居”

 同じ魅力を、2017年の主演ドラマ『あなたにドロップキックを』(NHK総合)にも感じた。イモトが演じた秋子は、突然、婚約を破棄された女性。女子プロレスラーのモモ(惡斗)と出会い、彼女を応援するなかで、自分の人生にも向き合うようになる。

 秋子は、登場した瞬間から周囲を引っ張っていくような主人公ではない。それでも、モモを見つめる彼女の反応についていくうちに、こちらもモモを応援し、秋子自身にも変わるきっかけをつかんでほしくなる。誰かに心を動かされる人物を演じることで、その相手も、自身の役も魅力的に見せる。ウズメにも通じる、イモトならではの主演としての力だ。

 振り返れば、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)でも、私たちは彼女の反応に心を動かされてきた。珍しい生き物や壮大な景色は、それだけでも見る価値がある。そこにイモトの驚きや感動が重なると、そのすごさや美しさが、より身近な実感を伴って届くのだ。怖いものを前にためらい、挑戦に必死になり、達成を喜ぶ。その感情の動きを追ううちに、画面の向こうの体験が、こちらのものにもなっていく。

 太眉のメイクや「珍獣ハンター」という強烈なキャラクターが、彼女を知る入口だった人も多いだろう。けれど、長く見続けたくなる理由は、その後の真摯な仕事ぶりにある。大きな挑戦に向き合う姿も、出会った人や景色に素直に心を動かす姿も、もっと見ていたくなる。その積み重ねが、イモトという人への愛着につながってきた。

 役者としての評価を決定づけた『家売るオンナ』(日本テレビ系)の白洲美加役でも、その力は発揮されていた。仕事をさぼり、コミカルにしごかれる姿に笑わされながらも、目の前の出来事に慌て、気持ちを揺らす一つひとつの反応には確かな人間らしさが宿っていた。この困った社員をどこか憎めない愛嬌のあるキャラクターに仕上げた演技は高く評価され、第90回ザテレビジョンドラマアカデミー賞の助演女優賞を受賞。感情を丁寧に積み重ねることで、見続けたくなる魅力を生み出していたのである。

 もちろん、役者としての持ち味は不器用な人物への親しみやすさだけにとどまらない。『東京サラダボウル』(NHK総合)では、専門性を持ち仲間を支える頼もしいリーダー格を落ち着きのある佇まいで好演。さらに『いろはの恋は時代をかける』(TBS系)第2話では一転、教育熱心で学校への不満を募らせる保護者役を演じ、娘とのすれ違いや周囲への圧力をリアルに体現してみせた。同じイモトが演じていても、それぞれ全く違う人生を歩んできた人間に見せられるカメレオン的な多才さも、彼女の大きな武器である。

 一歩を踏み出す人の戸惑いに寄り添い、その心の動きを鮮やかに映し出す。そんなイモトアヤコの「受けの芝居」があるからこそ、『再生のウズメ』は見る者の心をも優しく動かすのだろう。不器用ながらも歩みを進めるウズメの姿と、多面的な輝きを放ち続ける役者・イモトアヤコのこれからを、私たちはどうしても応援せずにはいられない。

■放送情報
土ドラ『再生のウズメ』
東海テレビ・フジテレビ系にて、毎週土曜23:40〜放送
出演:イモトアヤコ、白洲迅、大原梓、柴野晃太朗、前田美波里、相島一之、菅原大吉、市毛良枝
原作:天堂きりん『再生のウズメ』(祥伝社『FEEL YOUNG』連載中)
脚本:鎌田智恵、早船歌江子ほか
演出:古澤健、渋谷未来、加治屋彰人、水取拓也
企画:稲吉豊(東海テレビ)、伊藤真保(東海テレビ)
プロデューサー:松本圭右(東海テレビ)、河角直樹(東海テレビ)、古林都子(The icon)、渋谷未来(The icon)
音楽:鈴木ヤスヨシ
オープニングテーマ:レトロリロン「Dear」
制作:東海テレビ/The icon
©天堂きりん/祥伝社 FEEL COMICS

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