『めおと日和』愛おしい恋模様に戦争の影が忍び寄る 瀧昌の“共犯”という言葉の重み
今回、ある特別な日の帰り道に戦中であることを忘れて浮かれていた自分を責めるなつ美にも、瀧昌は自分も同じであることを明かし、冒頭の言葉を伝える。なつ美一人に我慢させるのでも、安易に慰めるのでもなく、その葛藤を二人で引き受けようとするところに、夫婦として過ごしてきた時間が表れていた。
瀧昌の言葉に思わず溢れたなつ美の涙には、温かさに触れ、張り詰めていた心がほどけるような安堵がある。芳根京子は、一体いくつの涙を持っているのだろう。無理に作る笑顔に寂しさを滲ませる姿も、夫の理解に触れて泣く姿も、その心の動きが繊細に伝わってきた。
そして今回、もう一組、夫婦として歩み始めたのが深見(小関裕太)と芙美子(生田絵梨花)だ。前作で「もし僕が死んだらどうします?」と尋ねられ、「別の人生を考えるだけです」と返した芙美子。その後、本当に二度と会えなくなるかもしれない恐怖に触れた彼女は、頑張って素直になろうとする。
そんな芙美子に、深見は、もしあの時間が二人で過ごす最後になっていたとしても「あの世で笑って思い出したと思います」と告げる。芙美子が悔やんでいた強がりも、深見にとっては愛しくてたまらないのだろう。初夜には、芙美子の緊張を慮り、事前に弟に頼んで廊下で物音を立ててもらう。あえてムードを壊すことで、彼女に無理をさせず、今回は静かに夜を見送ることにしたのだ。
本人から怖いという言葉を引き出すのではなく、芙美子が気丈に振る舞ったままでいられるように。深見の気遣いには、芙美子の誇りを大切にする思いが感じられる。弱さをさらけ出すことだけが、親密さの証しではない。互いの前では格好よくありたい気持ちも尊重する、二人ならではの関係が愛おしかった。
これから始まるかもしれない恋も、深まってきた夫婦の絆も、結ばれたばかりの縁も、戦争によって等しく引き裂かれるかもしれない。三組のときめきを楽しむほど、その現実が重くのしかかる。一緒にいる幸せを喜ぶために「共犯」という言葉が必要になることに、この時代の息苦しさを感じた。
終盤、瀧昌がなかなか戻らず、なつ美は郁子(和久井映見)の家へ。そこには瀧昌の上官である邦光(小木茂光)がいて、深見とも顔を合わせる。彼らは帰ってきているのに、なぜ瀧昌だけがいないのか。理由はまだわからないが、これまでとは違う不穏さが漂う。当たり前の日常が突然途切れる恐怖は、二人の絆を確かに感じたぶん、いっそう胸に迫った。
前回から次回予告のあとに流れる現代パートでは、なつ美と瀧昌に瓜二つのナツとタキの出会いが描かれている。道端で倒れたナツを病院へ送り届けるタキ。その出会いは、なつ美と瀧昌のものと全く同じだ。二人は生まれ変わりなのだろうか。もしそうなら、なつ美と瀧昌がともに天寿を全うした先の再会であってほしいと願うばかりだ。
■放送情報
『波うららかに、めおと日和』(続編)
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:芳根京子、本田響矢、生田絵梨花、小関裕太、小宮璃央、咲妃みゆ、小川彩(乃木坂46)、戸塚純貴、森カンナ、高橋努、紺野まひる、生瀬勝久、和久井映見
原作:西香はち『波うららかに、めおと日和』(講談社『コミックDAYS』連載)
脚本:泉澤陽子
音楽:植田能平
主題歌:Da-iCE「うららか」
挿入歌:BE:FIRST「夢中」
演出:平野眞、森脇智延(FILM)、國武俊文(FILM)
プロデュース:宋ハナ、貞松瑠南
制作プロデュース:古郡真也(FILM)
制作協力:FILM
制作著作:フジテレビ
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