『いろはの恋は時代をかける』が踏み込む教育現場の厳しさ 向井康二の演技が胸に迫る

 「無難」に過ごし、他人とは「無関係」でいたい。そう願う生琉(向井康二)が、それでも手放さないものに胸を打たれた。『いろはの恋は時代(とき)をかける』(TBS系)の第2話では、いろは(上白石萌音)が初めて教壇に立つ。児童とまっすぐに向き合う彼女を通して見えてきたのは、教師という仕事の喜びと、生琉がそうしたくてもできずにいる苦しさだ。

 341年ぶりの彗星が降る夜に、生琉の同僚・彩葉(上白石萌音)の体にタイムスリップして入り込んだ江戸の娘・いろは。算学が好きだった彼女は、女性も教師になれると知り、彩葉に代わって教壇に立つことを望んだ。生琉はひとまず自宅へ連れ帰るが、現代の学校で彼女に教師が務まるとは思っていない。妹の沙耶(白山乃愛)に助けるよう促されても、一日やれば諦めるだろうと取り合わず。それでも、行き場のないいろはを泊め、食事まで作ってしまうところに、彼の優しさと人のよさが垣間見える。

 沙耶との特訓を経て迎えた初授業では、カタカナに馴染みのないいろはが児童の名前を間違えてしまう。ほかの児童がからかい始めると、彼女はすぐに制し、本人に謝罪。自分はカタカナが苦手で、まだ修練が足りないのだと打ち明けた。すると、一人の児童が、カタカナは漢字の一部から作られた文字だと教えてくれる。ほかの文字の成り立ちにも興味が広がり、みんなで図書室へ向かうことに。

 知らないことを取り繕わず、子どもから教わることもためらわない。そんなやりとりが、児童の好奇心を引き出し、自ら学ぶ時間につながっていく。もともといた時代に和算家・関孝和(大森元貴)から教わった、楽しみながら学ぶ姿勢が、いろはの授業に生きていた。

 とりわけ心に残るのは、いろはが児童に頭を下げたことだ。教師が尊敬されていた時代から来た彼女は、その立場にあぐらをかくことなく、一人の人間として礼を尽くす。いろはの知る先生たちも、肩書だけで敬われていたのではなく、その人柄や振る舞いゆえに尊敬されていたのではないか。

 一方、生琉の注意は、廊下で箒をバット代わりに野球をする児童に届かない。強く叱ると、驚いた児童が箒を放り投げ、窓ガラスが割れる事態に。逃げようとした児童を連れ戻したいろはは、道具を正しく使うことの大切さを説いた。ただ叱るだけでなく、なぜいけないのかを丁寧に伝えようとする姿勢が胸を打つ。

 子どもは、大人がどれほど真剣に自分と向き合っているかを感じ取るものだろう。周囲の顔色を窺い、波風を立てずに過ごそうとするなかでは、児童との関係も深まりにくい。声を張り上げるだけでは届かない言葉も、日々の関わりのなかで信頼を築いていれば、違った伝わり方をするのかもしれない。

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