興収で読む北米映画トレンド

3時間の“ネタバレ厳禁”ドキュメンタリーに北米で観客殺到 首位は『ストリートファイター』

 今週の重大ニュースは、Netflixが自社作品の劇場興行収入を初めて正式発表したこと。スペイン映画『La Bola Negra(原題)』が、ニューヨーク&ロサンゼルスの4館で公開され、週末興行収入27万7500ドル、1館あたり6万9375ドルを記録した。

 外国語映画としては、『パラサイト 半地下の家族』(2019年)の1館平均13万1072ドルに次ぐ歴代2位。また、スペイン語映画としては歴代最高成績だ。観客の66%は男性で、年代別では35歳未満が51%だった。

『La Bola Negra(原題)』©2026, TELEFONICA AUDIOVISUAL DIGITAL, S.L.U., SUMA

 本作は戯曲『La Piedra Oscura』の映画化で、1932年・1937年・2017年という異なる時代に生きる3人のゲイ男性の人生が交錯する壮大なドラマ。出演者にはペネロペ・クルスやグレン・クローズも名を連ね、監督はスペインの人気映像作家コンビ、ハビエル・カルボ&ハビエル・アンブロッシが務めた。

 現在、Netflixは本作をアカデミー賞の有力候補と見ている。すでにカンヌ国際映画祭では監督賞を、トロント国際映画祭では観客賞を獲得。観客の支持も強く、出口調査では96%が高く評価し、87%が「ぜひ薦めたい」と回答した。

 これまでNetflixは、劇場公開を配信作品の宣伝やアカデミー賞への応募資格のために利用しており、劇場興収を発表してこなかった。しかし、今後はデヴィッド・フィンチャー監督『ザ・ファーザー・ミスアドベンチャー・オブ・クリフ・ブース』や、グレタ・ガーウィグ監督『ナルニア:魔術師のおい』などでも興収データの発表を計画しているという。

 北米では45日間の劇場公開期間を設けており、11月6日に拡大公開後、12月2日にNetflixで配信予定。なお、日本では東京国際映画祭(第23回ラテンビート映画祭 IN TIFF)で上映されるほか、トランスフォーマーが配給権を獲得している。

 そのほか今週は、20世紀スタジオ製作『クジラに落ちた男』が第4位に初登場。北米3065館で週末興収800万ドル、世界初動1750万ドル。『You Can See Everything』と比較するのは残酷だが、製作費6000万ドルに比しても厳しいスタートとなった。

『クジラに落ちた男』©2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 本作はダニエル・クラウスの小説を原作に、巨大なマッコウクジラに丸呑みされた青年が脱出を試みるサバイバルスリラー。海洋サバイバル映画は近年苦戦が続いているジャンルで、残念ながらその例に漏れない滑り出しとなった。

 監督は『誰も助けてくれない』(2023年)のブライアン・ダッフィールド、主演は『バイオハザード』での好演も印象深いオースティン・エイブラムス。Rotten Tomatoesでは批評家71%・観客81%、CinemaScoreは「B」と評価面もやや伸び悩んだことが、この中規模作品には痛手となったか。

 第5位は、ジェーン・オースティンの名作小説を新たに映画化した『Sense and Sensibility(原題)』。父親の死によって経済的基盤を失ったダッシュウッド家の姉妹が、恋愛や結婚をめぐる選択に直面する物語だ。過去の映画版に『いつか晴れた日に』(1995年)がある。

 本作は北米2545館で725万ドル、世界累計1850万ドルのスタート。製作費は2000万ドル規模だから、まずまずの初動だ。Rotten Tomatoesでは批評家76%・観客88%、CinemaScoreは「A-」と好評。観客の84%が女性で、そのうち78%が「ぜひ薦めたい」と回答した。

北米映画興行ランキング(10月16日~10月18日)

1.『ストリートファイター/ザ・ムービー』(初登場)
3100万ドル/3575館/累計3100万ドル/1週/パラマウント

2.『You Can See Everything(原題)』(初登場)
1500万ドル/855館/累計1500万ドル/1週/A24

3.『アザー・マミー』(↓前週1位)
835万ドル(-70%)/3370館(+5館)/累計4485万ドル/2週/ユニバーサル

4.『クジラに落ちた男』(初登場)
800万ドル/3065館/累計800万ドル/1週/20世紀スタジオ

5.『Sense and Sensibility(原題)』(初登場)
725万ドル/2545館/累計725万ドル/1週/Focus Features

6.『ヴェリティ/真実』(↓前週2位)
621万ドル(-48.3%)/3072館(-500館)/累計6609万ドル/3週/Amazon MGM

7.『バイオハザード』(↓前週3位)
550万ドル(-35.8%)/2705館(-380館)/累計1億4845万ドル/5週/ソニー

8.『ハート・オブ・ビースト』(↓前週4位)
483万ドル(-35.1%)/3049館(-316館)/累計5831万ドル/4週/パラマウント

9.『Jailer 2(原題)』(初登場)
326万ドル/420館/累計326万ドル/1週/Shloka Entertainments

10.『フォーガットン・アイランド 忘却の魔法島』(↓前週6位)
225万ドル(-52.2%)/2149館(-749館)/累計3510万ドル/4週/ドリームワークス

(※Box Office Mojo、Deadline調べ。データは2026年10月19日時点の速報値であり、最終確定値とは誤差が生じることがあります)

参照
https://www.boxofficemojo.com/weekend/2026W42/
https://deadline.com/2026/10/box-office-street-fighter-you-can-see-everything-1237159320/
https://deadline.com/2026/10/box-office-global-street-fighter-1237167021/
https://deadline.com/2026/10/indie-film-box-office-la-bola-negra-shines-netflix-shares-grosses-1237167026/
https://variety.com/2026/film/box-office/you-can-see-everything-box-office-nathan-fielder-elizabeth-holmes-huge-start-1236915640/
https://variety.com/2026/film/news/la-bola-negra-box-office-netflix-reports-grosses-1236915765/
http://hollywoodreporter.com/movies/movie-news/street-fighter-box-office-you-can-see-everything-whalefall-1236734312/
https://deadline.com/2026/10/indie-film-box-office-la-bola-negra-shines-netflix-shares-grosses-1237167026/

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