芦田愛菜の演技にはなぜ絶大な安心感があるのか 『南田南弁護士は天才肌』に集まる期待

『Mother』(日本テレビ系)では実母から虐待を受ける少女を演じ、健気に生きようとする小さな姿が視聴者の涙を誘った。『マルモのおきて』(フジテレビ系)では、幼くして父親を亡くし、阿部サダヲ演じる護に育てられる少女を好演。映画『星の子』では、新興宗教を信仰する家族のもとで生きる少女の揺れ動く心を、繊細な表情だけで見事に映し出してみせた。近年では『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系)で、いじめに苦しみながらも懸命に生きる鵜久森叶を演じ、その切実な姿で多くの視聴者の心を打ったことも記憶に新しい。
芦田はこれまで数々の作品で、多面性を持つ人物を違和感なく演じ切ってきた。そもそも人間という存在は、一つの言葉だけでは語れない。バームクーヘンのように幾重もの層を重ねながら生きており、ときには自分自身でさえ気づかなかった感情や一面に戸惑うこともある。南田というキャラクターもまた、そうした複雑さを抱えた一人の人間だ。

不器用さと聡明さ、優しさと葛藤。そのどれもが共存する南田南という難役を前にしても、不思議と不安はなかった。これまで芦田が演じてきた人物たちを振り返ると、今回もまた南田の新たな魅力や意外な一面を丁寧に掘り起こしてくれるのではないだろうか。そんな期待を抱かずにはいられなかったのである。
そう感じるのは、芦田の芝居にはいつも確かな説得力があるからだ。
彼女はただ役柄を演じるのではない。その人物が歩んできた人生や抱えてきた感情までも、自らの中に取り込みながら表現しているように見える。長台詞であっても、ただ覚えた言葉を発しているようには見えない。まるで台詞が身体の内側にまで浸透し、その人物自身の言葉として自然にあふれ出ているかのようだ。
さらに、言葉のない場面でも観る者の心を動かす演技力にも長けている。あのつぶらな瞳がわずかに潤むだけでも、役が抱える孤独や痛み、そしてかすかな希望までもがひしひしと伝わってくるのだ。
予告編では、「法は人の感情を重視します」と語る場面や、人に触れることへの戸惑いを見せる場面が映し出されていた。そして、「六法全書には載っていない、人の気持ちを知るのは難しいです」という南田の言葉も印象的だった。さらに、「自閉症の私には弁護士は無理だったのかもしれません」と弱音を漏らしながらも、手鏡を見つめて笑顔をつくるシーンも……。落ち込みながらも自分で自分を励まそうとする姿は実にいじらしく、思わず応援したくなってしまった。

人のために働くということは、決して教科書通りにはいかないものだ。なぜなら、人間には感情があるからだ。南田南は、勉強ができて高学歴でありつつも、人との関わり方や自分自身の感情の伝え方に悩み続けることになるのだろう。今後、彼女が依頼人や仲間たちとの出会いを通じて何を学び、どのように成長していくのか。
そして、その歩みを芦田愛菜がどのように演じるのか。放送前にもかかわらず、その答えを見る日が今から待ち遠しくてならない。
■放送情報
『南田南弁護士は天才肌』
カンテレ・フジテレビ系にて、10月19日(月)スタート 毎週月曜22:00〜放送
Netflixにて、各話地上波放送終了後に順次配信
TVer、カンテレドーガにて見逃し配信
出演:芦田愛菜、高橋文哉、細田佳央太、久保史緒里、柿原りんか、山口馬木也、平岩紙、角田晃広
原作:『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』(An Astory format)
脚本:田辺茂範、モラル
演出:三宅喜重、安川有果、洞功二、中田博之
プロデューサー:加藤春佳、本郷達也、三浦菜月美
音楽:末廣健一郎、MAYUKO
主題歌:muque「いいんじゃない」(A.S.A.B)
制作協力:MMJ
制作:カンテレ
©︎カンテレ
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