興収で読む北米映画トレンド

『アザー・マミー』『バイオハザード』北米でホラーの波ふたたび 話題の新作は思わぬ苦戦

 今週、思わぬ苦戦を強いられたのが、『ソーシャル・ネットワーク』(2010年)の続編に位置する新作映画『The Social Reckoning(原題)』だ。前作の人気にもかかわらず、初登場第5位と渋いスタート。北米2606館で550万ドルと、事前予測の700万~800万ドルに届かず、世界初動も900万ドルにとどまった。

 Facebookの内部告発者フランシス・ホーゲンとウォール・ストリート・ジャーナル紙の記者ジェフ・ホロウィッツが、若者への悪影響や偽情報の拡散など同社の諸問題を告発しようとする実話で、マイキー・マディソンとジェレミー・アレン・ホワイトが主演。マーク・ザッカーバーグ役はジェレミー・ストロングが演じた。

THE SOCIAL RECKONING – New Trailer (4K)

 前作『ソーシャル・ネットワーク』はデヴィッド・フィンチャーが監督、アーロン・ソーキンが脚本を務め、世界興収2億2400万ドルのヒットを記録。アカデミー賞脚色賞など3部門を受賞した。ただし、今回はフィンチャーと前作主演のジェシー・アイゼンバーグが続投していないこともあり、ソニー・ピクチャーズは本作を直接的な続編ではなく、Facebookを異なる時代・視点から描く関連作と位置づけている。

 監督・脚本は前作脚本家のアーロン・ソーキン。Rotten Tomatoesでは批評家54%・観客71%、CinemaScoreは「B-」評価と、批評家の反応が割れる一方、一定の観客支持を得た。観客は25~34歳が28%を占め、東西海岸の興収が全体の54%に集中。題材への関心が高い都市部の観客が中心だったこともうかがえる。

 製作費は3000万ドルで、前作の4000万ドルより低コストだが、現在の勢いでは黒字化のハードルは高い。ソニーは、名作として知られる前作との関係を維持しつつ、独自の魅力を伝えることに苦戦した形だ。すさまじい速度で時勢が移り変わるなか、2021年の告発事件を映画化することが、「今」の空気に刺さらなかった可能性もある。日本公開は未定。

 そのほか、今週は第2位の『ヴェリティ/真実』が2週目で1148万ドルを記録。前週比マイナス64.2%と急落を見せたものの、北米累計5386万ドル、世界累計1億1400万ドルに到達した。ドイツやイギリス、ブラジルでも好調で、日本では11月6日に公開される。

『ヴェリティ/真実』

 トム・クルーズ主演『DIGGER/ディガー』は、同じく公開2週目にして第8位まで後退。週末興収は320万ドル(前週比60%減)で、北米累計1443万ドル、世界累計3530万ドルとなった。Varietyは劇場興行の損失が2億4500万ドルにおよぶ可能性を報じているが、業界ではアン・ハサウェイ、ジェーン・フォンダ、ギレルモ・デル・トロらが支持を表明し、劇場での鑑賞を呼びかけている。

『DIGGER/ディガー』©︎2026 WBEI and Legendary

 ワーナー・ブラザースは2026年、ここまで北米興収1億ドルを突破した作品が一本もない。本作はパラマウントとの合併前、ワーナー最後の単独公開作品だが、同社の映画事業に大きな損失を残すことになった。

 なお、今週は『オデュッセイア』がまさかの第10位に再浮上。北米では上映館数が560館(前週比102館減)となったが、70mm IMAX上映の再拡大を受け、週末興収は前週比54.1%増の200万ドル。累計6億2297万ドルとなった。

『オデュッセイア』© 2026 UNIVERSAL STUDIOS photo by Melinda Sue Gordon © Universal Studios. All Rights Reserved.

 本作は韓国で累計1392億ウォン(約1億150万ドル)に到達し、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(2022年)を抜いてハリウッド映画の歴代興収1位に。全体でも歴代3位で、人口の約24%に相当する動員1200万人に到達した。外国映画として7週連続首位という新記録、さらにIMAXとDolby Cinemaの動員記録も更新するなど、まさに破竹の勢いだ。

 トップ10圏外では、ギレルモ・デル・トロ監督『パンズ・ラビリンス』(2006年)が公開20周年記念で北米1168館に再登場し、166万ドルで第11位にランクイン。監督が監修した4K修復版のほか、新たに3D化されたバージョンも上映されている。

 北米映画市場の年間累計は80億7000万ドル(10月11日時点)で、前年同期比19.6%増。怒涛のサマーシーズン後、秋の興行は伸び悩んでいるが、10月9日には年間興収80億ドルを突破(2011年と同じペースで、2025年よりも59日早い)。年末には『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』『デューン 砂の惑星PART3』などが控え、年間100億ドル突破も視野に入っている。

北米映画興行ランキング(10月9日~10月11日)

1.『アザー・マミー』(初登場)
2750万ドル/3365館/累計2750万ドル/1週/ユニバーサル

2.『ヴェリティ/真実』(↓前週1位)
1148万ドル(-64.2%)/3572館(+62館)/累計5386万ドル/2週/Amazon MGM

3.『バイオハザード』(↓前週2位)
835万ドル(-33.8%)/3085館(-174館)/累計1億3852万ドル/4週/ソニー

4.『ハート・オブ・ビースト』(↓前週3位)
710万ドル(-34.7%)/3365館(-116館)/累計4966万ドル/3週/パラマウント

5.『The Social Reckoning(原題)』(初登場)
550万ドル/2606館/累計550万ドル/1週/ソニー

6.『フォーガットン・アイランド 忘却の魔法島』(→前週6位)
450万ドル(-37.5%)/2898館(-657館)/累計3027万ドル/3週/ドリームワークス

7.『プライムタイム』(↓前週5位)
401万ドル(-48.2%)/2269館(-625館)/累計4146万ドル/3週/A24

8.『DIGGER/ディガー』(↓前週4位)
320万ドル(-60%)/3321館/累計1443万ドル/2週/ワーナー

9.『Angel and the Badman(原題)』(初登場)
206万ドル/2263館/累計206万ドル/1週/Angel Studios

10.『オデュッセイア』(↑前週11位)
200万ドル(+54.1%)/560館(-102館)/累計6億2297万ドル/13週/ユニバーサル

(※Box Office Mojo調べ。データは2026年10月12日時点の速報値であり、最終確定値とは誤差が生じることがあります)

参照
https://www.boxofficemojo.com/weekend/2026W41/
https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/other-mommy-box-office-social-reckoning-opening-1236726908/
https://variety.com/2026/film/box-office/social-reckoning-flops-other-mommy-leads-box-office-1236908161/
https://variety.com/2026/film/box-office/digger-losing-millions-warner-bros-box-office-1236908217/
https://variety.com/2026/film/box-office/odyssey-passes-avatar-korea-top-international-film-ever-1236908100/
https://deadline.com/2026/10/box-office-global-resident-evil-other-mommy-social-reckoning-bombs-1237154279/
https://deadline.com/2026/10/indie-film-box-office-fjord-naza-misty-green-musk-1237154375/
https://deadline.com/2026/10/box-office-other-mommy-social-reckoning-1237151001/
https://deadline.com/2026/10/box-office-domestic-8-billion-milestone-1237154358/

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