『ブラッサム』本格登場の石橋静河が眩しい! 同人誌づくりと“自ら輝く”女性たちの物語

 NHK連続テレビ小説『ブラッサム』第6話から、石橋静河が演じる珠の物語が本格的に始まった。大正2年の春、16歳になった珠は高等女学校の4年生に。幼い頃、蔵にある小説を夢中になって読んでいた少女は、今やきょうだいに読み聞かせるお話を自ら書くようになっていた。

 物語に触れる楽しみから、物語を生み出す楽しみへ。珠の文学への関心が広がる一方で、その暮らしには変わらないものもある。父・清治(渡部篤郎)は相変わらず放蕩無頼を貫き、何をせずとも家族に威圧感を与える。女学校へ向かう道中、橋の上で清治とすれ違った珠から、笑顔が消える場面も印象的だった。第1週で村上蘭が演じた珠の、父への恐れと物語への愛情。その両方を引き継ぎながら、石橋は成長した珠の日常を見せていく。

 珠が通う高等女学校で徹底されているのは、良妻賢母の育成だ。家庭を守ることが女性の役割だと教わり、着物の縫い方を学ぶ。幼い頃から家事を担ってきた珠は、裁縫も上手。けれど、昼休みに目を輝かせて語るのは、『イワンの馬鹿』の魅力だった。のちにイッセー尾形が演じる小山牛丸の翻訳や、作品が描く人間のあり方に夢中になる姿からは、教室で求められる役割だけでは収まらない、彼女の興味が伝わってくる。

 父に叱られるため、家には本を持ち帰れない。昼休みは、好きな本を気兼ねなく読める貴重な時間なのだ。そんななか、同級生の忍(木竜麻生)には縁談が持ち上がっていた。嫌だと伝えても、意見は聞き入れてもらえない。自分のことなのに、なぜ親に決められなければならないのかと、忍は憤る。

 一方で、岩田屋の手伝いをする梅(松本穂香)は、女学校に通う珠をうらやましがりながら、早く嫁ぎたいと話す。結婚にどんな思いを抱くにせよ、その時期や相手を自分の意思で選べるとは限らない。忍の縁談への反発から見えてくるのは、本人の望みよりも親、特に父親の意向が優先される、この時代の女性たちの立場だ。

 忍が珠たちに見せたのは、女性文芸雑誌『青鞜』だった。平塚らいてうらが1911年に創刊したこの雑誌は、女性たちが自分の言葉で表現する場となった。忍が読む、女性を太陽と月にたとえた文章には、男性に依存する存在とされてきた女性が、自ら輝くことへの願いが込められている。

 良妻賢母になることを教わる教室で、少女たちが『青鞜』を読む。女性に求められる役割が強く残る一方で、自分の思いや生き方を、自分の言葉で表そうとする女性たちも現れていた。その声は岩国の少女たちにも届き、当たり前とされてきた女性の生き方に疑問を抱くきっかけとなっている。

 そこで忍が提案するのが、同人誌づくりだ。珠は、稲子(華優希)、タエ(中井千聖)、忍の3人と、自分たちの雑誌を作ることになる。誰が何を書いてもいい。親の意向に左右されることの多い暮らしのなかで、せめて書くものは自分で選びたい。『青鞜』に触れた少女たちは、自分たちも自由に表現できる場所をつくろうとしていた。

 しかし、同人誌に載せる小説を書こうとするものの、なかなか筆が進まない珠。そんな彼女の背中を押すのが、母・リョウ(国仲涼子)だ。珠と同じくらいの歳の頃には、すでに嫁いで日々の暮らしに追われていたリョウ。ゆえに、自分にはできなかった勉強や友人との語らいを珠が楽しんでいると、自分のことのようにうれしくなるという。珠たちが求める自由は、母の世代から続く願いとも重なるのかもしれない。同人誌づくりは珠にとって、物語を書く喜びと、自分の意思で選ぶ喜びが重なる経験になりそうだ。

■放送情報
2026年度後期 連続テレビ小説『ブラッサム』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜から金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:石橋静河、加賀まりこ、松たか子、国仲涼子、渡部篤郎ほか
作:櫻井剛、小松與志子
主題歌:YOASOBI
制作統括:村山峻平、櫻井壮一
プロデューサー:大野陽平
演出:盆子原誠、中泉慧、佐藤玲衣、田中陽児、小林直毅、野田雄介
写真提供=NHK

関連記事