錦戸亮、“年齢を重ねた深み”が23年ぶり朝ドラで発揮 『ブラッサム』納得のキャスティング
9月28日より放送がスタートするNHK連続テレビ小説『ブラッサム』に、錦戸亮が出演することが発表された。
錦戸亮、『ブラッサム』で約23年ぶりに朝ドラ出演 東郷青児をモデルにした洋画家役に
2026年度後期の連続テレビ小説『ブラッサム』に錦戸亮が出演することが発表された。 NHK連続テレビ小説第115作目となる本…作家・宇野千代をモデルに、石橋静河演じる主人公・葉野珠が、明治、大正、昭和という時代を駆け抜けながら小説家として歩んでいく姿を描く『ブラッサム』。錦戸が演じる夏井銀児は、常識に縛られない生き方で世間の注目を集める洋画家だ。珠の取材相手として現れ、やがて彼女の人生にも深く関わっていく。モデルとなったのは、独特の美人画で知られる洋画家・東郷青児である。
錦戸自身は銀児を「自由でどこか掴みどころのない人物」と表現。制作統括の村山峻平氏も、錦戸が時折見せる「空虚なまなざし」と、ふと漏らす笑い声が銀児をよりミステリアスな人物にしているとコメントしている(※1)。
錦戸亮という俳優を一言で表すなら、感情を説明しすぎない人。笑っているからといって楽しそうとは限らないし、無表情だからといって何も感じていないわけでもない。むしろ、何を考えているのかすべてをこちらに渡してくれないからこそ、その人物について考えたくなるのだ。
だから、今回のキャスティングには不思議と納得してしまうのかもしれない。自由で、周囲を惹きつけながらも、完全には理解させてくれない銀児。そんな人物に必要なのは、分かりやすい色気や奔放さだけではなく、近づいたと思ったら、ふっと遠くへ行ってしまうような危うさだ。近年の錦戸は、まさにそうした役を自然に成立させてきた。
そんな錦戸にとって、今回の『ブラッサム』は約23年ぶりの朝ドラ出演となる。前回出演した『てるてる家族』で演じた桑原和人は、現在の銀児とはずいぶん異なる役柄だった。なかにし礼の小説『てるてる坊主の照子さん』を原作にした同作は、昭和の大阪・池田を舞台に、岩田家の4姉妹がそれぞれの夢を追っていく物語。石原さとみが四女・冬子を演じ、錦戸は彼女と幼い頃から交流を重ねる青年・和人を演じた。
当時まだ10代だった錦戸には当然ながら若さがあり、冬子のそばにいる和人にも素朴さや瑞々しさがあった。それでも、今振り返ってみると、錦戸特有のどこか影を感じさせる佇まいはすでにあった。その後、『1リットルの涙』(フジテレビ系)では沢尻エリカ演じる亜也を支える麻生遥斗、『ラスト・フレンズ』(フジテレビ系)では恋人への愛情と暴力性を併せ持つ及川宗佑、『流星の絆』(TBS系)では両親を殺された三きょうだいの次男・有明泰輔を演じた。『ごめんね青春!』(TBS系)では一転、不器用でどこか情けない高校教師・原平助としてコメディの中心にも立っている。
一見すると役柄に共通点は少ない。それでも錦戸が演じると、その人物を「こういう人だ」と簡単には言い切れなくなる。優しいけれど、それだけではない。危ういけれど、完全な悪人でもない。情けないのに、ふとした瞬間に妙な色気がある。人間は一つの言葉では説明できないという当たり前のことを、そのまま役の中に残せるのが錦戸の強みなのだろう。
近年の作品では、そうした錦戸の持ち味がより複雑な役柄にも生かされている。Netflixシリーズ『離婚しようよ』で演じた加納恭二は、自然体で人との距離を縮めながらも、その本心はなかなか見えてこない人物だった。『Re:リベンジ-欲望の果てに-』(フジテレビ系)の大友郁弥もまた、穏やかな振る舞いの裏に何を抱えているのかを簡単には読み取らせない。錦戸はどちらの役でも、感情をあえて表に出しすぎないことで、その人物の奥行きを作り出していた。
錦戸の役者としての面白さは、いかにも何かを抱えていそうな芝居をするわけではない。むしろ、そこに普通に立っている。それなのに、なぜか目で追ってしまうし、その人物についてもっと知りたくなる。そうした余白は、年齢を重ねるにつれて、より深みを増しているように思う。
銀児は、自由でつかみどころがなく、それでいて人を惹きつける人物だ。どこまでが本心なのかを簡単には悟らせないからこそ、珠だけでなく視聴者もその存在が気になっていくのだろう。錦戸が長い俳優人生の中で磨いてきた魅力が、最も自然に生かされる役の一つなのかもしれない。
参照
※ https://realsound.jp/movie/2026/09/post-2531958.html
■放送情報
連続テレビ小説『ブラッサム』
NHK総合にて、9月28日(月)スタート 毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:石橋静河、加賀まりこ、松たか子、国仲涼子、渡部篤郎ほか
作:櫻井剛、小松與志子
主題歌:YOASOBI
制作統括:村山峻平、櫻井壮一
プロデューサー:大野陽平
演出:盆子原誠、中泉慧、佐藤玲衣、田中陽児、小林直毅、野田雄介
写真提供=NHK