徳尾浩司脚本朝ドラ『なぎさの進化論』に期待すること ヒロインのポイントは“信念の強さ”

 2027年度後期(大阪制作)NHK連続テレビ小説(朝ドラ)のタイトルが『なぎさの進化論』に決定し、脚本を徳尾浩司が務めることが発表された。

 朝ドラ第117作目となる本作は、現代の大阪と鹿児島・与論島を舞台に、新米の女性獣医師がヒトと動物の幸せを追求していく姿を描く物語。連続テレビ小説では史上初となる“獣医師”をヒロインに据えたオリジナル脚本作品となる。

 獣医師は“動物のお医者さん”であるが、主人公の藤代なぎさは最大の仕事は人と話すことであることを実感する。なぜなら動物の病状を伝えるのも、高額な治療費やリスクのある手術について動物に代わって選択をするのも、すべて「飼い主」だからだ。

 「進化論」と聞くと、4足歩行のサルから、アウストラロピテクスのような2足歩行の猿人類になり、現代に生きる人へと繋がっていくような絵が思い浮かぶ。動物に寄り添うつもりで獣医師になったが、結果として人に寄り添うことになるなぎさの人生は、まさに「進化論」のようでワクワクさせるタイトルだ。

 脚本を担当する徳尾は、これまで『おっさんずラブ』(2016年/テレビ朝日系)、『タツキ先生は甘すぎる!』(2026年/日本テレビ系)、『シバのおきて~われら犬バカ編集部~』(2025年/NHK総合)などで脚本を手がけてきた実力派。どの作品でも、人の繊細な気持ちの揺れ動きを丁寧に描き出してきた。

 特に、『ライオンの隠れ家』(2024年/TBS系)は、ある日突然、小森洸人(柳楽優弥)の元へやってきた謎の男の子・ライオン/橘愁人(佐藤大空)の両親探しを主軸としながら、関係するさまざまな人々の関係性にフォーカスを当てながら物語が展開していった。洸人と弟で自閉スペクトラム症を持つ弟の美路人(坂東龍汰)の平穏で変化のない生活、ライオンが来たことで動揺するが、次第に成長していく美路人、洸人がときどき思い出す異母姉・愛生(尾野真千子)のこと。すべてが複雑に絡み合い、繋がっていくさまは、考察しがいのあるミステリードラマとしても見応えがあったが、同時にそれぞれの人にそれぞれの事情があることを細やかに描き出すことで壮大なヒューマンドラマにもなっていた。さらに、最終回は愁人の親が見つかったから、“めでたしめでたし”となるのかと思いきや、平穏な生活を愛していた洸人が、次に“挑戦する人生”のために一歩を踏み出すところで幕を閉じた。最後まで、「人」に注目していたことが強く印象に残るものだった。

 そのような作品を生み出してきた徳尾が描くなぎさの人生には、きっと魅力的な人たちが数多く登場してくることだろう。もちろん、なぎさ本人も、多くの人を魅了する人物であるはずだ。

 楽しみにしたいのは、そんななぎさを誰が演じるのかということ。飼い主にとっては、家族の一員である動物たち。そして大切な命の一つである。現在放送中のNHK連続テレビ小説『風、薫る』でも、りん(見上愛)らが患者の死に直面してもがいている姿が描かれたばかりだ。チャーミングであるだけでは越えられない壁がたくさんある。朗らかな笑顔だけではなく、信念の強さを感じさせる芝居ができるかどうかが大きなポイントとなりそうだ。

■放送情報
2027年度後期 NHK連続テレビ小説『なぎさの進化論』
NHK総合にて、2027年秋~放送
作:徳尾浩司
制作統括:渡邊悟
プロデューサー:田島彰洋
写真提供=NHK

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