読売新聞、アニメ産業拡大に向けたグループ企業子会社化 「業界にお金が回る仕組みを」
アニメ・IPビジネスをめぐる発表会『読売新聞×YTE×読売テレビ「アニメ・IPビジネスで目指す方向」』が、株式会社読売新聞(以下、読売新聞)東京本社にて7月13日に開催された。
読売新聞は、読売テレビ放送株式会社(以下、読売テレビ)の完全子会社であるエンターテインメント企業・株式会社YTE(以下、YTE)の7割の株式を取得して子会社化。読売テレビが持つノウハウに加え、読売新聞グループの各種経営資源や国内外におけるネットワークを活用することで、国内コンテンツ産業とアニメ文化のさらなる発展に寄与するという。本発表会では、アニメ・IPビジネス領域における3社の連携方針が説明された。
登壇したのは、読売新聞東京本社取締役副社長・安部順一、読売テレビ代表取締役社長・松田陽三、YTE代表取締役社長・梅田尚哉の3名。はじめに、安倍が同戦略についての概要を説明した。
安倍はまず近年のアニメ産業市場の拡大を振り返る。2024年の同市場規模は3兆8,407億円を記録し、過去15年間で3倍以上に拡大している。そのうち海外市場規模は2兆1,702億円を占め、10年間で6倍以上に広がった。一方でアニメ制作会社には十分に利益が還元されておらず、国内のアニメ制作会社は2011年時点で419社、2020年には811社と約2倍増加しているが、そのうち約3割は赤字に陥っている。
こうした現状に対して、読売新聞はアニメ業界にお金が回る仕組みを構築する狙いだ。金融機関や商社の出資と、それを受け取る制作会社の間を仲介する立場を担っていくと展望を述べた。
また、アニメ関連IPを活用した地方活性化にも意欲を示した。東京都以外に拠点を持つ制作会社は、2011年時点で54社、2020年時点は119社にまで増加している。アニメの作中で描かれた舞台やモデルとなった場所をファンが訪れる「聖地巡礼」も一般的になった今、読売新聞の情報流通網を活かして作品が持つ聖地巡礼のポテンシャルを最大化させていくという。これまでの類似の事例としては、読売中京FSホールディングス(それぞれ近畿、中京、福岡、北海道に広域放送エリアを持つ読売テレビ、中京テレビ放送、福岡放送、札幌テレビ放送からなる)が、2025年日本国際博覧会の公式キャラクター「ミャクミャク」とコラボした子ども向けイベントを各地で開催していた。
今回YTEと提携することで、さらに多様な施策が行えるようになる見込みだ。YTEは『名探偵コナン』など読売テレビが製作に携わったアニメ番組を世界各国に向けて販売しているほか、自らも多くのアニメ作品の製作委員会に参加している。阿部は「推し活ブームがチャンス」ととらえ、IPを活用したい企業とIPホルダーをマッチングさせる立場を担う展望を述べた。
また、読売新聞が運営するデジタル広告配信プラットフォーム「YxS Ad Platform」も、今回の戦略に活用される。同プラットフォームは、全国の新聞読者・テレビ視聴者に関する膨大なデータをもとに高精度のターゲティングを実現するもの。利用されるデータには、読売新聞グループの新聞読者をベースとしたデータ基盤「yomiuri ONE」と、ソニーグループのインターネット広告会社・SMNの保有するテレビ視聴データ「Connected TV Data Bridge(TVBridge)」、書籍通販サイト『honto』の閲覧データがある。これに加えて、イオングループと提携している未来屋書店の購買データも組み合わせ、アニメ作品ごとのファン層に最適化したマーケティング施策が可能になるという。
これまでに実施された施策には、漫画作品『MOGAKU』(少年チャンピオンコミックス刊)と競輪・オートレースに関する振興事業を担う公益財団法人JKAとのコラボや、よしながふみによる『きのう何食べた?』(モーニングKC)と味の素が販売する風味調味料「ほんだし」とのコラボ、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』とミネラルウォーターブランド「い・ろ・は・す」とのコラボなどがある。
このように、IP活用のうえで読売新聞が持つ膨大な情報流通網とデータが利用されていく見込みだ。