『トイ・ストーリー5』なぜジェシーが主人公? 共同監督&プロデューサーにインタビュー
ディズニー作品として歴代最速で興行収入50億円を突破する大ヒットを記録中の『トイ・ストーリー5』。シリーズを通してウッディとバズの名コンビが主人公として描かれてきた『トイ・ストーリー』シリーズだが、今回の『トイ・ストーリー5』ではシリーズで初めてジェシーが主人公に据えられている。
1作目の『トイ・ストーリー』からシリーズ全作に携わってきたピクサー・スタジオの重鎮であるアンドリュー・スタントンと共に共同監督として作品を手がけたケナ・ハリスは、今回ジェシーが主人公になるのは“運命”だったと語る。
「アンドリュー(・スタントン)が前作『トイ・ストーリー4』のときに、ウッディがジェシーに保安官バッジを渡すシーンにものすごくこだわっていました。そして、『トイ・ストーリー5』の制作が決まる前から、もし続編をやるとしたらジェシーの物語にしたいという気持ちが彼の中にあったそうなんです。アンドリューがスタジオから『トイ・ストーリー』の新作を作ることに興味があるかと聞かれたときに、『興味はあるけど、まずは自分が描きたいテーマを含めて簡単に第1稿を書かせてほしいと言って書いたのが、ジェシーが主人公の物語で、子どもたちの部屋にデジタルデバイスの脅威が迫っているというテーマでした。ピクサー・スタジオのスタッフの中でもジェシーのファンはたくさんいるので、すぐにこのアイデアをベースに続編を作ろうという話になりました」
1994年生まれのハリスはデジタルネイティブ世代。1965年生まれのスタントンとは親子ほど年齢が離れている。世代が違う2人が共同で監督を務めることで、プラスの作用があったとハリスは言う。
「アンドリューと私を組み合わせるというアイデアは、スタジオ側が最初から戦略的に考えていたことでした。2人の世代の違いこそが、作品にいいバランスを生むのではないかと。経験豊富なアンドリューは非常に聡明な人で、『トイ・ストーリー』のことはすべてわかっています。一方で私には、若いクリエイターとして、ある種フレッシュなテイストを作品に持ち込めるのではないかという自負がありました。もちろん私たちには違いがありますが、お互いの考えていることが読めるくらい、クリエイティブな意味でものすごく相性が良かったんです。脚本の段階から、ジェシーのストーリーに何を求めているのか、お互いに考えていることが全く一緒だったんです。私はもともと脚本家兼監督志望だったのですが、そういった意味でもアンドリューは私にとって本当に素晴らしいメンターであり、彼からたくさん学ぶことができました」
プロデューサーを務めたリンジー・コリンズは、世代の違う2人が一緒に作品を作ることが、ピクサー作品を色褪せないものにする秘訣だと断言する。
「ピクサー・スタジオでは本当に素晴らしい才能が育っていて、ケナもその1人です。ケナは長編としては今回の『トイ・ストーリー5』が初めての監督作になりましたが、過去には短編映画『アルベルトの手紙』を監督として手がけています。そうやって、若いクリエイターに作品を作る機会を与えながら、どう成長させられるかを意図的に考えているんです。その背景には、ピクサーを一つの世代で終わるようなスタジオにしたくないという強い思いがあります。今回の『トイ・ストーリー5』のように、ベテランと次世代の才能が共同で作品を作ることによって、現代的な視点を取り入れた良質な作品が生まれる可能性が広がるわけです。実際、ピクサーの6年後のスケジュールを見ると、ベテランと次世代のクリエイターが一緒に監督を務める作品が複数あるので、今後の作品にも期待していただきたいです」
劇場長編映画として世界初のフルCGアニメーション作品となったことでも広く知られている1995年全米公開の『トイ・ストーリー』。そんな『トイ・ストーリー』シリーズでデジタルデバイスの脅威が描かれることはある種の“宿命”だったと言えるが、デジタルデバイスが広く普及したのは2010年代初頭。なぜ2026年のいま、このテーマを『トイ・ストーリー』シリーズに取り入れたのか。実は、前作『トイ・ストーリー4』のタイミングでもデジタルデバイスを描くアイデアがあったとコリンズは明かす。
「『トイ・ストーリー5』の制作自体は4年前から始まっていたのですが、実は『トイ・ストーリー4』のときにも、デジタルデバイスに触れるのはどうかという話が出たんです。ただ当時は、そのテーマを描こうとすると、どうしてもサイドストーリーになってしまうという壁にぶつかりました。『トイ・ストーリー』としてデジタルデバイスの脅威を描くのであれば、サイドストーリーではなくメインストーリーとしてしっかり描かなければいけない。なので、『トイ・ストーリー4』では断念せざるを得ませんでした」
『トイ・ストーリー5』では、ジェシーが主人公になったことで、メインストーリーとしてデジタルデバイスの脅威を描くことができたと言うコリンズ。ただ、2026年のいまこのテーマを描くのは、タイミング的に少し遅いのではないかという危惧があったと続ける。
「脚本を書き始めたタイミングだったのですが、デジタルデバイスの脅威はすでに過ぎ去り、みんなそれを受け入れてうまく付き合っていけているのではないかとふと思いました。私たちとしても、あとからなぞっているだけの映画にはしたくありませんでした。ただ面白いことに、子どもであれ大人であれ、人間とテクノロジーの関係性はいまも複雑です。日々進化していくテクノロジーとどうやって付き合っていけばいいのか、我々はまだ答えを見つけられていません。少し疲弊しているところもあると思うのですが、そういうところも含めて、そのまま映画で描くことができたと思います。こういう付き合い方もあるよねという希望のある形で映画を終わらせることができたのも、すごく良かったと思っています」
そんなコリンズの言葉に同調しつつ、ハリスは『トイ・ストーリー5』における一番重要なポイントは、「“人と繋がりたい”というボニーの気持ち」だと断言し、「それは時代に関係なく、普遍的なものです。それを今回の作品で描けたことは、私たちにとっても大きな収穫でした」と、『トイ・ストーリー5』の出来に自信を見せた。
■公開情報
『トイ・ストーリー5』
全国公開中
監督:アンドリュー・スタントン
共同監督:ケナ・ハリス
製作:リンジー・コリンズ
声の出演:唐沢寿明(ウッディ役)、所ジョージ(バズ役)、日下由美(ジェシー役)、広瀬アリス(リリーパッド役)、佐野勇斗(スマーティー・パンツ役)、井上和/乃木坂46(スナッピー役)、松井ケムリ/令和ロマン(アトラス役)、竜星涼(フォーキー役)ほか
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
全米公開日:2026年6月19日/原題:Toy Story
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