菅田将暉はなぜ“天才”を演じ続けるのか 『豊臣兄弟!』『黒牢城』で示した“両兵衛”の凄み
菅田将暉がNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』で竹中半兵衛、映画『黒牢城』で黒田官兵衛の“両兵衛”を演じていることが話題だ。
その話題性は運命的な大河ドラマの放送日と映画の公開日にある。半兵衛の最期を描いた“退場回”「さらば半兵衛」の放送は6月14日。秀吉(池松壮亮)の参謀として、官兵衛は残された時間がわずかな半兵衛から役目を受け継ぐ立場にある。その翌週の6月19日には映画『黒牢城』が公開。まるで半兵衛から官兵衛へと“転生”したかのようなタイムリーな役の重なりが大河ファンの間でも注目されている。
『豊臣兄弟!』と『黒牢城』以外にも、特にこの6月は話題尽くしの菅田。3年4カ月ぶりに復活を果たした6月22日放送の『菅田将暉のオールナイトニッポンGOLD』(以下、『ANN』/ニッポン放送)では『豊臣兄弟!』の裏話を大いに話しており、“両兵衛”を演じたことに「名誉なことですよ」と誇らしく思うと共に、半兵衛のクランクインから1カ月後に官兵衛として役に入っていたことを明かしている。つまりはほぼ同時期に“両兵衛”を演じていたことになるのだ。
2つの役で共通しているのは長セリフに加えての流暢なセリフ回し。『黒牢城』は荒木村重(本木雅弘)を説得しに官兵衛が有岡城にやってくるところから始まるが、その滔々と話す姿は『豊臣兄弟!』で小一郎(仲野太賀)たちと出会ったばかりの半兵衛を彷彿とさせるものがある。ただ、役としては大きく異なっており、半兵衛は病弱でオタク気質。小一郎たちとの“青春”のような日々を通じて徐々に明るく、ときに“変顔”を見せるユーモア溢れる一面も。小一郎たちに囲まれながら、桜舞う中で美しい最期を遂げた。
一方の『黒牢城』は、先述した冒頭のシーン以外は、全て“土牢幽閉”状態。手足を鎖で繋がれており、体力的にも精神的にも追い詰められていく。『黒牢城』は「冬」「春」「夏」「秋」のいわゆる4編から構成されており、地下牢に幽閉された10ヶ月の間に起きる4つの怪事件について、村重が官兵衛の知恵を借りながら真相を究明していく。ジャンルとしては菅田が久能整を演じた『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)の方が近いのかもしれない。
ただ、繰り広げられていくのは、村重と官兵衛によるじりじりとした舌戦と心理戦。捕らわれているのは官兵衛のはずが、いつしか村重の方が心を揺さぶられ、官兵衛の考えに“囚われ”になっていく様子は見事。極限状態の官兵衛を猛々しく演じきっている。知略による自身の戦を生きる姿は、半兵衛、官兵衛の“両兵衛”で通じ合う部分。松寿丸の訃報を受け、一人咽び泣く父としての官兵衛の姿が忘れられない。
「日本でも優秀な“かしこ”をやってるからな。すごいことなんですよ!」と『ANN』で自画自賛していた菅田は“両兵衛”、久能整だけでなく、映画『アルキメデスの大戦』の櫂直、映画『帝一の國』の赤場帝一といった“変人”と紙一重の“天才”、さらには大河ドラマ『おんな城主 直虎』(NHK総合)では井伊直政、『鎌倉殿の13人』(NHK総合)の源義経といったカリスマ性溢れる天才軍師を演じてきている。
なぜ、菅田将暉という役者はこれほどまでに“天才”として求められるのだろうか。芝居の上手さとレンジの広さはもちろんのこと、彼が醸し出す得体の知れないミステリアスな雰囲気は唯一無二と言っていい。それに加えて、揺蕩うようなセリフの節回し、リズム感。『ANN』の放送の中で、菅田が半兵衛の役ともう一つ自画自賛していたのが、2年連続で務めた国際音楽賞『MUSIC AWARDS JAPAN』のグランドセレモニーの司会で、その進行ぶりは各方面から称賛されている。
筆者も会場となったTOYOTA ARENA TOKYOの現地で取材していた一人だが、聞いていて心地良くなるような口調と、物腰柔らかな佇まいに、会場全体が惹き込まれていく感覚があった。役者としての演技とは別ではあるが、菅田が持ち合わせている本質的な人柄に、我々はどうしても魅了されてしまうのではないかと思わせられる有意義な時間だった。
『MUSIC AWARDS JAPAN』の翌日には九州へと飛び、新たな作品に入ったことを『ANN』で明かしている菅田。そこには新たな“天才”としての姿があるのかもしれない。
■放送情報
大河ドラマ『豊臣兄弟!』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/毎週土曜13:05〜再放送
NHK BSにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送/毎週日曜18:00〜再放送
出演:仲野太賀、池松壮亮、吉岡里帆、浜辺美波、白石聖、坂井真紀、宮澤エマ、倉沢杏菜
大東駿介、松下洸平、中島歩、要潤、山口馬木也、宮﨑あおい、小栗旬ほか
語り:安藤サクラ
脚本:八津弘幸
制作統括:松川博敬、堀内裕介
演出:渡邊良雄、渡辺哲也、田中正
音楽:木村秀彬
時代考証:黒田基樹、柴裕之
プロデューサー:高橋優香子、舟橋哲男、吉岡和彦(展開・プロモーション)、国友茜(広報)
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.web.nhk/tv/pl/series-tep-P52L88MYXY
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