『豊臣兄弟!』“半兵衛”菅田将暉を継承した“官兵衛”倉悠貴 極限状態の芝居が示した気迫
半兵衛(菅田将暉)の美しい最期から1週間。NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』第24回「軍師官兵衛!」は半兵衛から秀吉(池松壮亮)の参謀としての役目を受け継ぐ官兵衛(倉悠貴)の主役回。生意気で若さが目立っていた官兵衛が、黒田官兵衛として洗練された逞しさを見せる回だ。
村重(トータス松本)に幽閉されて1年が経った官兵衛。現在公開中の映画『黒牢城』は村重(本木雅弘)と官兵衛(菅田将暉)が怪事件に挑むいわゆる“創作”のミステリーだが、本作でもかの有名な“土牢幽閉”が描かれる。官兵衛の髪と髭はボサボサに伸びっぱなし。窮地に追い込まれた有岡城を救うため、村重は監禁している官兵衛に打開策を問う。生きる気力をなくした官兵衛は這いつくばって村重の元へと近づいていき、「お互い無様じゃのう。村重!」と金切り声で絶叫する。その姿はまるでホラー。辺り一面には「南無妙法蓮華経」といった無数の文字が刻み込まれており、官兵衛がどれほどまでに追い詰められているかが分かる。6月16日放送の『午後LIVE ニュースーン』(NHK総合)のインタビューで、倉悠貴はこのシーンのため5日間断食をし、1日水を抜いた状態で撮影に挑んだ過酷な撮影だったと明かしている。その見た目の恐ろしさを増幅させているのは、倉による絶望と怨念のような鋭い目つき。実際に飢餓状態となることで、倉はリアリティを味方につけた芝居を演じている。
村重が妻のだし(山谷花純)や家臣を捨て毛利のもとへと逃走。陥落した有岡城の牢から官兵衛が姿を現し、「三木城を力で落としてはなりませぬ」と織田信忠(小関裕太)へと進言する。播磨で生まれ育った身として、官兵衛は別所を討てば播磨の民の心は手に入らないと足を引きずりながらも堂々と主張した。
牢の中で死ぬことばかりを考えていた官兵衛を引き止めていたのは、半兵衛の言葉だった。「我らの味方になっていただきたい」と言う半兵衛の真意、それは官兵衛は最後の最後に織田をも裏切り己がのしあがるのではないかという考えにあった。それに幽閉されていた間、松寿丸(森優理斗)を長浜城にて預かってくれていた羽柴家、そのきっかけとなった半兵衛への恩と借り、そして味方になるという約束もある。
官兵衛は、小寺官兵衛から黒田官兵衛へと生まれ変わり、再び羽柴兄弟に忠義を尽くすことを誓った。もう一度仲間に、という必死の訴えに、小一郎(仲野太賀)は“代わり”ではなく、「半兵衛は半兵衛。おぬしはおぬしじゃ」と、秀吉も「とっくの昔から、おぬしはわしらの仲間じゃ」と官兵衛を温かく迎え入れた。
1年以上ぶりとなる松寿丸との再会には胸が熱くなると同時に、官兵衛の父としての姿が頼もしい。真の播磨平定、そして真の羽柴兄弟の仲間へ。半兵衛の思いを継承しながら、小寺官兵衛は黒田官兵衛として決意を新たにする。斬首に処されるだしを目の当たりにし、自責の念に駆られる小一郎を励ましたのは慶(吉岡里帆)の「あなたはあなたです」という言葉だった。官兵衛は小一郎に支えられ、その小一郎もまた慶に支えられている。誰かが誰かを支え、支えられて生きていることに改めて気付かされるシーンだ。また、官兵衛が信忠の前に颯爽と現れた時も、小一郎と慶が手を繋ぎ歩く場面にも桜の花びらが舞っていた。そこには半兵衛の思いが乗っているように思えてならない。菅田将暉のクランクアップ時、倉にとって“兄貴”のように慕っていた菅田から「あとは任せた」と言葉をかけられたという『午後LIVE ニュースーン』インタビューでのエピソードが忘れられない。
一方、光秀(要潤)は信長(小栗旬)の前にひれ伏していた。次回のタイトル「変事の予兆」が示す通りに、物語は歴史の大きなターニングポイントとなる本能寺の変へと向かっていく。
■放送情報
大河ドラマ『豊臣兄弟!』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/毎週土曜13:05〜再放送
NHK BSにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送/毎週日曜18:00〜再放送
出演:仲野太賀、池松壮亮、吉岡里帆、浜辺美波、白石聖、坂井真紀、宮澤エマ、倉沢杏菜
大東駿介、松下洸平、中島歩、要潤、山口馬木也、宮﨑あおい、小栗旬ほか
語り:安藤サクラ
脚本:八津弘幸
制作統括:松川博敬、堀内裕介
演出:渡邊良雄、渡辺哲也、田中正
音楽:木村秀彬
時代考証:黒田基樹、柴裕之
プロデューサー:高橋優香子、舟橋哲男、吉岡和彦(展開・プロモーション)、国友茜(広報)
写真提供=NHK
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