『田鎖ブラザーズ』兄弟と晴子に訪れた衝撃の真実 “復讐の連鎖”は何を残したのか?
真の向けた銃口は、晴子の耳をかすめただけだったのだと信じたい。血が飛び散るのではなく、ポタポタと滴ったのがその証であってほしい。あの海に釣り竿を垂らしていた後ろ姿も、現在の晴子であり、海に眠る父と静かに語らっていてほしい。兄弟も「大きくなったら何になりたい?」と再びお互いに問いかけ、これからも続いていく人生があると覚悟を決めている風景だと思いたい。罪が消えることはない。けれど、それでもひとつの区切りをつけて、それぞれが歩み出したのだと願わずにはいられないラストだった。
兄弟が何度も繰り返し思い浮かべてきた、焼きそばにお酢を掛け合う田鎖家の風景。そこに映る真と稔の姿が、子どもから大人へと変わっていったことも、その象徴のように見えた。その幸せな笑顔を見ていて思う。田鎖家の両親も、晴子の父も、そしてもっちゃんの母も、子どもの手を血で染めてほしいなどとは望んでいなかったはずだ。愛する子どもたちが、もし自分の死によって苦しむことがあったとしても、その苦しみによって人生を壊してしまうことまでは望んでいなかったのではないか。
誰かを思う気持ち、守りたいと願う気持ち、失いたくないとすがる気持ち。そのどれもが、本来は尊いもののはずだ。けれど、その愛が持つ力は、時として憎しみへと姿を変えてしまう。誰かを傷つけたり、取り返しのつかない過ちを引き起こしたりすることもある。
どれほど温和な人であっても、どれほど常識的な人であっても、その瞬間には「これが正しい」と信じて行動してしまうことがあるのだと、この物語は教えてくれた。だからこそ大事なのは、その愛する存在のために、本当に自分の手で人生を壊していくことを望んでいるのかと、どこかで立ち止まれる瞬間なのかもしれない。
真と稔は、「ひとりになるのは嫌だ。それだけは勘弁してくれよ」と言い合えるお互いの存在があったからこそ、ふたりで「ここまでだ」という場所までたどり着けたように思う。怒りも、憎しみも、悲しみも、ひとりで抱え続けていたら、どこまでも行き過ぎてしまったかもしれない。けれど、隣に同じ痛みを知る人がいた。引き止めてくれる人がいた。自分の人生まで差し出してしまう前に、「ここで終わりにしよう」と言える相手がいた。
そんな人が、そばにいてくれる人生を目指していくこと。そして、自分もまた誰かにとって、そういう存在であろうとすること。それが、私たちの愛を本当の意味で守ってくれるのかもしれない。
■放送情報
金曜ドラマ『田鎖ブラザーズ』
TVer、U-NEXTにて配信中
出演:岡田将生、染谷将太、中条あやみ、宮近海斗、和田正人、飯尾和樹(ずん)、長江英和、山中崇、仙道敦子、井川遥、岸谷五朗
脚本:渡辺啓
音楽:富貴晴美
主題歌:森山直太朗「愛々」(ユニバーサル ミュージック)
演出:山本剛義、坂上卓哉、川口結
プロデュース:新井順子
撮影監督:宗賢次郎
編成:高柳健人、吉藤芽衣
製作:TBSスパークル、TBS
©TBSスパークル/TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/TAGUSARI_bros/
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