『風、薫る』“夕凪”村上穂乃佳は“直美”上坂樹里の関係者? 女郎の扱いをめぐる重い現実

 りん(見上愛)と直美(上坂樹里)は、4カ月にわたる実習を終え、次の実習先である内科へ移る。NHK連続テレビ小説『風、薫る』第49話では、フユ(猫背椿)の家での看護にひと区切りをつけた2人が、今度は服毒自殺を図った男女の対応にあたることになる。

 これまでお世話になったフユたちに挨拶をする場面では、フユが「仕事には離縁されないようにせいぜい頑張って」と、最後までいつもの調子で嫌味を言う。素直に励ますような人ではないが、その憎まれ口も含めてフユらしい。りんと直美がフユの家に通った時間は、康介(じろう)の体調だけでなく、夫婦の関係や、フユが抱えてきた負担にも向き合う日々だった。そう思うと、最後まで憎まれ口で送り出すフユの不器用ささえ、少し愛らしく見えてくる。

 そして新たに配属された内科では、着任早々、服毒自殺を図った男女の対応に追われる。女郎の夕凪(村上穂乃佳)が病院に運び込まれてくるが、周囲の関心は男の患者のほうに向いている。女郎だから、後回しにされても仕方がない。そんな空気が、病院の中に当たり前のように漂っているのだろう。だが、りんと直美はこれまでの経験を活かしながら、夕凪のケアを始める。

 その結果、夕凪は一命を取り留める。目を覚ました彼女が口にしたのは、「なんで助けたのよ」という言葉だった。助かったことを喜べないほど、夕凪は追い詰められていたのだろう。命を救うことはできた。だが、死のうとした人間を助けることが、本人にとって本当に救いになるのか。男の服の中からはヒ素が見つかり、2人がそろって死を選ぼうとしていたことも明らかになる。そこには、簡単に善悪では割り切れない事情があるはずだ。

 ただ、どんな事情があったとしても、女郎だからといって命を軽く扱っていい理由にはならない。何より、そのことを強く感じていたのは直美だろう。彼女はりんと交代で夕凪の看護にあたることになる。これまで直美は、人と距離を取りながら生きてきた。だが、目の前で傷ついている人、助けを必要としている人を放っておけないところがある。これまで人から軽く扱われる痛みを知っている彼女だからこそ、夕凪を放っておけなかったのだろう。

 さらに、夕凪という名前は直美の過去にもつながっていく。寛太(藤原季節)が知っていた、直美の母親と思われる人物も“夕凪”と呼ばれていたからだ。その瞬間、赤い糸で結ばれた男女の後ろ姿のような映像が差し込まれる。目の前の夕凪が母と関係しているのか、それともただ同じ名前の別人なのかはまだわからない。だが、この出会いが直美の出生の秘密に近づくきっかけになりそうな気配はある。

■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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