仲野太賀×吉岡里帆の泣き笑いは『豊臣兄弟!』屈指の名シーンに 第13回と対の第19回
慶が赦された瞬間。そこには嬉しさにも似た感情もあったはずだ。そして、与一郎を見つめる母としての優しい眼差し。仲野太賀とは映画『泣く子はいねぇが』(2020年)以来の夫婦役(そして母親役)となるが、今作では温かな母親像をここからじっくりと描いていけそうだ。
慶が「小一郎さん」と初めて夫の名を呼び、手を取っては「この命、あなたにお預けいたします」と告げるのは、第13回のセリフへの見事なアンサーだ。
セリフ自体は以前とほぼ変わらないものの、慶が小一郎の手を取り自身の胸に当てることで、かつて放った「心はお前たち織田の者には、指一本たりとも触れさせぬ!」という拒絶の言葉を自ら否定するメッセージとして受け取ることができる。小一郎の瞳からとめどなく溢れ出る涙は、彼自身が「夫として認められないもどかしさ」から解放された瞬間だったのかもしれない。
振り返れば、養子として引き渡された万丸(小時田咲空)の近況を宮部継潤(ドンペイ)から聞き、弥助(上川周作)ととも(宮澤エマ)が涙する様子を、雪の降り積もる中、慶がじっと見つめるシーンがあった。あれは万丸を与一郎と重ねていたのだと、今ならば分かる。長く孤独な冬を越えて、ようやく温かな春が慶には訪れたのだ。
一方、信長は嫡男・信忠(小関裕太)に家督を譲り、「新しい景色が見とうなった」と安土に天下一統を見据えた巨大な城を造り始めた。秀吉(池松壮亮)は柴田勝家(山口馬木也)を総大将とする上杉攻めに加わるが、作戦を巡り勝家と激しく対立してしまう。後の本能寺の変を経て、清洲会議、賤ヶ岳の戦いへと繋がる新たな亀裂が、早くも生じ始めている。
■放送情報
大河ドラマ『豊臣兄弟!』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/毎週土曜13:05〜再放送
NHK BSにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送/毎週日曜18:00〜再放送
出演:仲野太賀、池松壮亮、吉岡里帆、浜辺美波、白石 聖、坂井真紀、宮澤エマ、倉沢杏菜
大東駿介、松下洸平、中島歩、要潤、山口馬木也、宮﨑あおい、小栗旬ほか
語り:安藤サクラ
脚本:八津弘幸
制作統括:松川博敬、堀内裕介
演出:渡邊良雄、渡辺哲也、田中正
音楽:木村秀彬
時代考証:黒田基樹、柴裕之
プロデューサー:高橋優香子、舟橋哲男、吉岡和彦(展開・プロモーション)、国友茜(広報)
写真提供=NHK