『風、薫る』生田絵梨花、原嶋凛ら“個性派同級生”が集結 前途多難な養成所編が開幕

 りん(見上愛)と直美(上坂樹里)は捨松(多部未華子)に導かれ、看護婦養成所でトレインドナースを目指すことに。NHK連続テレビ小説『風、薫る』は、4月27日放送の第21回より「養成所編」に突入。志を共にする仲間との出会いは意外にも殺伐としたものになった。

 りんと直美がこれから通うことになる看護婦養成所は、梅岡女学校の付属として新設された養成所だ。入学当日、さっそく同級生の一人・トメ(原嶋凛)と出会った2人。途中で迷いながら女学校の裏手にあると聞いていた校舎を目指すと、それらしき建物を見つける。少し不安になるような佇まいの校舎をはじめ、養成所全体に急ごしらえ感が目立っている。

 まず、看護婦養成所の記念すべき開校日にもかかわらず、肝心の看護の先生が不在。校長の梶原(伊勢志摩)は挨拶にやってくるが、「私は看護のことはよくわかりません」とあけすけに語り、「この養成所にきてよかった、正しかったと思えるものに、皆さんが各々でなりましょう!」と生徒たちに告げる。聞きようによっては突き放しているとも捉えられ、生徒たちの表情にも動揺の色が浮かんでいた。

 挨拶だけ済ませ、そそくさと退散してしまった梶原。後を任された舎監兼通訳の松井(玄理)もどこか頼りない。日本にまだ看護の概念が存在しない時代ゆえに、教師たちも養成所の扱いに困り、お互いに役割を押し付けあっている印象だ。そんな養成所に自らすすんで入学を決めた生徒たちはやはりひと癖あるというか、ありていに言えば、ちょっと変わっている。

 松井に寮へと案内され、生徒たちはそれぞれ荷解きをしながら自己紹介をすることに。最初に口火を切ったのは、呉服屋の娘・しのぶ(木越明)だ。「恵まれた日本橋の呉服屋の美人姉妹の四女ですの」という発言から、自己肯定感の高さが窺える。経済的に恵まれ、かつ両親から愛情をたっぷりと注がれて育ったのだろう。そんな彼女が看護の道を選んだのは、西洋の本でたまたま見かけた看護婦の服がかわいかったから。よこしまな動機に同級生たちは驚くが、一視聴者としてはその素直な性格に好感が持てた。

 他にも、まだ20歳のあどけない青森の百姓の娘・トメや、信心深いキリスト教徒で最年長の喜代(菊池亜希子)など、個性豊かな面々が集う。その中でも特に異彩を放っていたのが、生田絵梨花演じる多江だ。父は旧幕府の奥医師で、兄と弟も医者という医療に近しい環境で育った彼女は毅然とした態度で「私は日本の医療の向上に看護婦が欠かせまいと考え、こちらにきました」と話す。そんな崇高な目的を掲げる一方で、親のいない直美を“みなしご”と呼びかけるなど、本来看護師が寄り添うべき社会的弱者を見下しているところも。プライドが高く、女子同士の馴れ合いを嫌う孤高の存在で、どこか直美とも似ている。

 女性はみだりに髪を切ってはいけないという「女子断髪禁止令」が存在していた時代に、あえて髪を短くしてきた直美。梶原からその理由について問われた彼女は躊躇うことなく出自を打ち明け、「己の出自や自分の未来を考え、悩むのも髪と一緒に断ち切りました」と語った。「私のような何も持たない女が生きていくためには、トレインドナース、看護婦になるしかないと思い、この養成所に入りました」とも。その宣言は、決して自分を曝け出して、これから仲間になる同級生たちと打ち解けるために行ったものではない。むしろ、自分の覚悟の強さをアピールし、他にも選択肢がある同級生たちを牽制する意味があるのではないか。いわば、“拒絶”だ。

 そんな直美は同族嫌悪もあるのか、早くも多江とは火花を散らしている。かなり前途多難な始まりとなった「養成所編」。ピリピリとしたムードに耐えかね、「ナイチンゲール女史は深い慈しみを持った優しいひとですわ!」と突如立ち上がった最後の同級生・ゆき(中井友望)からも目が離せない。

■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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