『風、薫る』第2週にして「私、奥様やめる!」宣言 “私の人生”に悩む明治を生きる女性たち

 NHK連続テレビ小説『風、薫る』第8話では、りん(見上愛)と直美(上坂樹里)のそれぞれに転機が訪れる。

 いまだに接点のない2人だが、これまで進んでいる道も性格もまるで正反対。りんは奥田家に嫁いだものの、実家の両親とは対照的に夫からも姑からも優しさや温かさは感じられない。何かと「家老の娘」や「気品が高い」と嫌味ったらしく言われてばかりだ。子どもを産んでも跡取りではない女の子だったことにあからさまに落胆されても、そんな子の“父上”の姿に自分の父・信右衛門(北村一輝)を重ねてどうしようもない気持ちになっても、母・美津(水野美紀)の言いつけを守り、なんとか旦那に仕えようとしていた。まさに、忍耐また忍耐の日々である。

 だが、ある日、亀吉(三浦貴大)が酒に酔って帰宅すると、ひょんなことから口論になり、亀吉が暴れ出してしまう。しかも倒れた行灯から火が出て奥田家が火事に。りんは環(宮島るか)とともに逃げるが、女中が「奥様〜!」とりんを探す中、向かった先は実家の一ノ瀬家だった。そして、美津に「私、奥様やめる!」と宣言したのだった。

 一方の直美は自分の納得する道を進みたいと思っている。なかなか定職に就けないのはその気の強い性格が災いして冷遇されてしまうからだが、りんと違って直美は自分が尊重されていないと感じるとその場所に居られなくなってしまうようだ。でもだからといって、自己肯定感が高いわけでもない。直美は身分の高い者を嫌っているが、それは自分がその身分ではないという“僻み”からくることを分かっていて、そう思ってしまう自分のことも嫌いなのだ。その上で彼女はもがき続ける。自分の居場所は東京どころではなく、日本でもないのではないかと感じ、自分の“得意なこと”である英語の勉強は淡々と続けているのである。

 そんな中、直美は“鹿鳴館の華”と称される型破りな貴婦人・捨松(多部未華子)と出会う。華やかな衣装で周りの目を引く捨松だが、直美が捨松の乗った馬車の近くで落としたじゃがいもを拾っていたら、「ああ、疲れた」「私はこの国のためになっているのか」と英語で不満を漏らしていた。英語がわかる直美だけがその怪訝そうな顔が、馬車が止まってしまっているからだけではないとわかる。そして、「これが私の人生よ」と捨松からじゃがいもを拾って渡された。この時ばかりは、高貴な捨松の姿を嫌味も言わずにぼんやりと見つめるだけだった直美。「私の人生」という言葉は彼女の心にどのように響いたのだろうか。

 実は、捨松とりんは、一度道端で出会ったことがある。りんと直美の接点といえば、りんの妹の安(早坂美海)の縁談で美津たちが東京に行った時に、直美がスリから助けてくれたことだけだった。そこへ今回、捨松を介しての縁もできたことになる。でもどちらもとても間接的な繋がりで、2人が出会うまでの道のりはまだまだ遠そうに思えた。

 しかし、ここで風向きが変わってきた。「私、奥様やめる!」と宣言したりんに、美津は「負け戦を長引かせてはなりません」と東京に行くことを勧めたのだ。これがついに2人が出会うきっかけとなるのだろうか。

■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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