『デアデビル:ボーン・アゲイン』S2が相変わらずアツい! ファンを飽きさせない仕掛けとは

デアデビルが、市長フィスクが、戻ってきた!

 ついに3月25日からディズニープラスにて独占配信が開始された『デアデビル:ボーン・アゲイン』シーズン2。シーズン1は第1話からその衝撃の展開とアクションに打ちのめされ、その後も少しずつ侵食されていく街と正義を通して描かれる政治的な描写も素晴らしく、とにかく良質で大人向けの人間ドラマが堪能できた。このドラマの何が良いかと言うと、これまでの作品を観ていなくても重厚でハイクオリティな作品として楽しめるところだ。

 マット・マードック/デアデビル(チャーリー・コックス)とウィルソン・フィスク/キングピン(ヴィンセント・ドノフリオ)の対立が徐々に再燃し始め、「NY、一体どうなっちゃうの……」と震え上がってしまったシーズン1最終話。それから半年後を描くシーズン2の第1話では、早速デアデビルがフィスクの野望を止めるために、武器の密輸船に忍び込み、カレン・ペイジ(デボラ・アン・ウォール)とともに彼の真の姿を世間に知らせようと奮闘する。

 そして一気に物語が加速していく、第2話、第3話。もうすでに展開が面白すぎるこの2エピソードを中心に、シーズン2の見どころを深掘りしていこう。

腐敗した街で人々を守るのは“法”か“暴力”か

 本作の根底に流れるのは、フィスクによる息の詰まるような恐怖政治だ。ニューヨーク市長に就任した彼が推進する「アンチ自警団タスクフォース(AVTF)」により、街は自警団を狩るディストピアと化している。平気で市民に暴行を加えるフィスクに忠実な腐敗した暴力警官たちAVTF。彼らの存在によって得た“筋力”だけでなく、フィスク自身が仕掛ける頭脳戦もさらにレベルアップしているのだから手に負えない。フィスクは街から姿をくらましたマット(デアデビル)を探し出すために、彼がシーズン1のパーティで自分の命をポインデクスター/ブルズアイ(ウィルソン・べセル)から守った事実を逆手に取り、「命の恩人である優秀な弁護士が行方不明だ!」とメディアに訴え、街にマットの写真を貼り出す作戦に出る。

 この一手により、“マット・マードック”として表を歩けばメディアや市民に囲まれ、“デアデビル”として動けばAVTFに狙われるマットは、行動を制限せざるを得なくなる。そんな彼のスーツが人目を忍ぶような、闇に溶け込む黒色になっているのも面白い。その胸にはコミック由来の「DD」の表記が。これは実写スーツで初めてのことだという。そして黒色になっているのも、前シーズンで使用した赤いスーツに黒いペイントを施しているだけとのこと。つまり、エピソードが進むにつれてデアデビルの“レッドカラー”が見えてくる仕様になっているようだ。ただカッコいいだけでなくキャラクターの変容にまで意味を持たせてくる仕掛けがすごい!

 そんなふうに、ファンを飽きさせないポイントばかりの本作。なんと言ったってシーズン2は開始直後からすでに緊張感がマックス。マットとフィスクだけでなく、彼らを取り巻くキャラクターがそれぞれ、この新しいNYの空気に翻弄されていく。その中でも気になる存在が、マットの元恋人でセラピストのヘザー・グレン(マルガリータ・レヴィエヴァ)だ。

 シーズン1で連続殺人鬼ミューズに命を狙われたトラウマを抱える彼女は、フィスクにより市政のメンタルヘルス責任者に任命され、精神鑑定を悪用される駒へと変貌する。特に印象的なのは、オリジナルドラマシリーズ『ホークアイ』にも登場したジャック・デュケイン(トニー・ダルトン)との面会。話をしている最中に、ミューズの幻影に囚われた彼女が不当な鑑定を書き起こす瞬間、正義の均衡が崩れていく様に画面が傾いていく。同様の演出はデュケインの裁判シーンにも用いられ、証拠よりもフィスクの意向が優先された歪んだ司法が強調されている。

 「法は誰を守るためにあるのか?」――公平性が保たれるはずの司法さえフィスクの振りかざす武器となってしまい、正義は崩壊する。では、法に守られないなら暴力に訴えるしかないのか。この命題こそが、おそらくシーズン2の大きなテーマとなっていくのだろう。そしてそれは、デアデビル自身が長年抱いてきた葛藤そのものでもある。昼は弁護士として法で弱者を守り、夜は法で裁けない悪を叩きのめすヒーロー。しかし、法で裁けない以前に、法が機能しなくなっている。それは弁護士のマットにとって屈辱的な状況でもあり、デアデビルにとって“怒り”の糧となる。

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