『ザ・ロイヤルファミリー』に込めた“覚悟”と“愛” 加藤章一P&塚原あゆ子監督が明かす秘話

みんな好きにならずにはいられなかった、座長・妻夫木聡

――妻夫木さんへのオファーは、加藤プロデューサーの念願だったそうですね。

加藤:本作は、主人公は栗須(妻夫木聡)ということになっていますが、“物語の主役”という意味では耕造(佐藤浩市)と耕一(目黒蓮)なんです。ふたりをどう動かしていくかは栗須さん次第、という構図。なので、現場で僕たち以上に耕造役の(佐藤)浩市さんと接し、尚且つ途中から入ってくる耕一役の目黒蓮くんを迎え入れていく複雑な立ち回りを、経験豊富な妻夫木さんなら努めてくださるだろうという期待を込めてのオファーでした。妻夫木さんとは本作で、初めてご一緒させていただいたのですが、作品全体を俯瞰しながら現場を導いてくださる方でした。

――監督から見た、妻夫木さんの印象はいかがでしたか?

塚原:本当に素晴らしい座長でした。元気で楽しくいいものを作ろうと旗を振ってくださって。どうしても一番出番があってセリフが多いのも主演の方。そんな一番大変である方が楽しくしてくださっているから、みんなも明るく過ごすことができました。

――YouTubeにアップされた妻夫木さん、松本若菜さん、目黒さんとの座談会動画で、妻夫木さんが「毎話3〜4回観てる」ともおっしゃっていました。この作品を心底愛されていることが伝わってきましたが、現場でもそういった雰囲気はありましたか?

塚原:現場の妻夫木さんは、同じ作品を作り上げる仲間として、みんなが好きにならずにいられない言動を自然にされる方。「もっとこうしたら競馬のことを知らない人も面白くなるのでは」と提案してくださったり、スタッフに対しても「ここがよかったって誰々も言ってましたよ」というポジティブな発信を本当にサラッとされていて。実際、目黒くんも大好きになっていましたね(笑)。

――そんな目黒さんと、加藤プロデューサーは『トリリオンゲーム』のドラマ・映画でも関わられていましたね。映画『わたしの幸せな結婚』(2023年3月公開)では塚原さんもご一緒されていました。現在、大躍進されている目黒さんの印象についてはいかがですか?

加藤:私が言うのも僭越ですが、ものすごく俳優として飛躍されたなと感服しています。目黒くんは本当に真面目で一生懸命な方で、それゆえに初めてご一緒させていただいたときは、目の前のことに集中して取り組むタイプの方だなという印象でした。ですが、今作で再会するまでにたくさんのお仕事を経験されて、驚くほど視野が広がって。いい意味で余裕を持って作品に臨まれているように思いました。

塚原:『わたしの幸せな結婚』は、目黒くんにとって映画単独初主演作品だったんですよね。役に対するアプローチについてはすでにそのときから話すことができていたというのもあって。素質として、粘り強く役に向き合うという感覚がブレることなく、彼のなかに変わらずあるなというのを感じています。

――耕一という役に期待されていた点について教えてください。

加藤:まずは佐藤浩市さんの息子役として説得力のある佇まい。そして、大学生から20代後半までを演じるうえで、フレッシュさと落ち着きを併せ持っている点を重視しました。その両方を満たせる俳優として、目黒さんにオファーしました。

――耕一が馬の話題になると早口になる描写も印象的でしたが、そのあたりは目黒さんと役についてお話されたのでしょうか?

塚原:クセが強いけど愛すべきキャラクターである耕造さん。その血を、耕一が受け継いだという印象を馬に対する愛の強さで見せていこうと考えました。とはいえ、耕造さんのようなギラギラとした感じではなく、そこは今の時代を生きる若者らしさを滲ませて、ちょっと“マニアっぽい”雰囲気にすることで愛されポイントにもなるんじゃないかなと。目黒くんも同じ解釈だったようで、私が何か「こうして」と言ったわけではなく、原作に漂っていた匂いを表現してくださいました。

――加奈子役の松本さんも、ヒロインとして物語に欠かせない存在感を放っていました。

加藤:加奈子は、東京の洗練された空気も知っていながら、日高の素朴な風景にも馴染む雰囲気を持っていて。さらに、馬や家族に対する葛藤もありながら、栗須さんへの特別な想いもあって……と、実はいろんな感情を持ち合わせているキャラクターなんです。どころが、詳しく説明はされていないんですよね。演じ手に任される部分も大きくなることを考えて、これまでいろんな役を演じられてきた引き出しの多さから、松本さんにお願いすることにしたんです。それこそ長い期間を描くドラマでしたので、年を重ねていく女性役をオファーするという難しさもあって。最後のほうは、メイクでも年齢を表現してくださってましたよね?

塚原:そうですね。物語上の若い時代はむしろノーメイクに近くて、どんどん濃くしていきました。化粧を重ねるほどに年齢を感じさせる肌感になっていくんですよ。実際にはシミがないのに、あえてコンシーラーを仕込んでみる、みたいなこともしていました。

加藤:松本さんの女優魂が感じられる作品になったと思います。

続編に期待を寄せつつ、何度も物語を見返して楽しんでほしい

――主題歌の「ファンファーレ」も大きな話題になりました。

加藤:玉置浩二さんには、「劇中でレースに勝った瞬間に流れます」という旨のお手紙を書かせていただき、制作をお願いしました。正直、私の拙い説明でドラマの雰囲気が伝わるのか不安ではあったんですが、最初のデモからもうメロディが出来上がっていて感動しました。歌詞についても、一度ご自身でやらせてくださいとのことだったので、お任せすることに。すると、この素晴らしい歌詞が届いて驚きました。

――最終回は、映像作品ならではの熱い展開が話題になりました。

加藤:ドラマ化するにあたって基本的には原作に則りつつ、小説とテレビとの違いから映像として補足していく必要があると判断した部分がありました。私のやりたかったこととしては、子どもが父親を乗り越えようとしたときに、父親がちゃんと前に立って壁となること。それから日高と北陵というもう一つの対立構造を、原作よりももう少し前に出させてもらいつつ、結局は「どっちがいいとか悪いとかではない」という着地点をつけたところ。原作小説のラストでは戦績表だけが記されているので、ドラマでもトロフィーや額だけ見せるパターンが一番近いのではと考えたのですが、塚原監督から「映像でレースを見せたい」と言われて……。

塚原:やっぱりファミリーが勝つレースシーンを映像で見たい、と私自身が思ってしまったんです。もちろん、それだけ大変な作業になることは覚悟の上で(笑)。

――SNSなどでは、その後の物語をまたドラマとして描いてほしいという声も上がり、続編を期待する声も絶えません。

加藤:原作の早見和真先生が続きを書いてくださるなら、私たちも「ぜひ」と思っています。みなさんには、その日がくるまでBlu-ray/DVDを見返しながら、期待を寄せてくださるとうれしいです。

――最後に、視聴者へのメッセージをお願いします。

加藤:ありがたいことに、本作は紆余曲折はありましたが、ドラマになるまでに時間をたっぷりかけて作ることができたので、物語全体として伏線がしっかり機能する構成になっています。毎週1話ずつ追いかけていたときとは違って、通して物語をご覧になられると、よりその構造が見えてきます。ぜひ「このときのやりとりが、あそこで効いてくるのか!」と楽しんでいただきたいです。

塚原:キャストのみなさんが本当に繊細にキャラクターを作られているので、そのお芝居にも注目していただきたいですね。撮影順と物語の時間軸が異なる中でも、関係性の変化が自然に表現されている点は見どころの一つです。その演技のうまさを、何度も見返しながら味わっていただきたいです。

■リリース情報
『ザ・ロイヤルファミリー』
4月10日(金)Blu-ray&DVD発売

【Blu-ray】
価格:32,340円(税込)
品番:TCBD-1909
仕様:2025年/日本/カラー/本編497分+特典映像(124分)/16:9 1080i High Definition/2層/音声:リニアPCM2chステレオ/バリアフリー日本語字幕(本編のみ)/全10話/4枚組(本編ディスク3枚+特典ディスク1枚)

【DVD】
価格:26,400円(税込)
品番:TCED-8500
仕様:2025年/日本/カラー/本編497分+特典映像(124分)/16:9LB/DISC1・5・6:片面2層、DISC2~4:片面1層/音声:ドルビーデジタル2chステレオ/バリアフリー日本語字幕(本編のみ)/全10話/6枚組(本編ディスク5枚+特典ディスク1枚)

<特典映像>
・出走直前!見どころSP
・ハプニング集
・1shotインタビュー 妻夫木聡・佐藤浩市・目黒蓮・松本若菜
・妻夫木聡×佐藤浩市 2shotインタビュー
・妻夫木聡×佐藤浩市×目黒蓮 3shotインタビュー
・馬牧場メイキングin北海道
・オールアップ集
・SPOT集

<音声特典>
・第7話オーディオコメンタリー 妻夫木聡&松本若菜&演出:塚原あゆ子

<封入特典>
ブックレット

出演:妻夫木聡、目黒蓮、松本若菜、安藤政信、高杉真宙、津田健次郎、吉沢悠、関水渚、長内映里香、秋山寛貴(ハナコ)、市原匠悟、三浦綺羅、尾美としのり、中嶋朋子、市川実日子、中川大志、木場勝己、小泉孝太郎、黒木瞳、沢村一樹、佐藤浩市
原作:早見和真『ザ・ロイヤルファミリー』(新潮文庫刊)
脚本:喜安浩平
音楽:横山克
主題歌:玉置浩二「ファンファーレ」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
プロデュース:加藤章一
協力プロデュース:大河原美奈、小髙夏実
演出:塚原あゆ子、松田礼人、府川亮介
編成:佐久間晃嗣、中野翔貴
製作:TBSスパークル、TBS
発売元:TBS/TBSグロウディア
販売元:TCエンタテインメント
©︎2019 早見和真/新潮社 ©︎TBSスパークル/TBS

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