興収で読む北米映画トレンド
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』大ヒットで北米No.1 『オッペンハイマー』以来の記録も
これぞまさしくスマッシュヒットである。ライアン・ゴズリング主演のSF大作『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が、3月20日~22日の北米映画週末ランキングで堂々のNo.1を獲得した。
週末興行収入(3日間)は8050万ドルで、北米映画市場では今年最高のオープニング成績。『クリード 過去の逆襲』(2023年)を抜いてAmazon MGM Studios史上最大の初動成績となり、さらに非続編・非フランチャイズ作品としては『オッペンハイマー』(2023年)以来のヒットとなったことが大きなトピックだ。
アンディ・ウィアーのベストセラー小説を映画化した本作は、宇宙船でたったひとり目覚めた科学教師グレースが、記憶を取り戻しながら、人類の運命をかけたミッションに臨むストーリー。孤独な任務に挑むグレースだったが、宇宙には同じく故郷を守ろうと奮闘する異星人ロッキーがいた……。監督は『スパイダーマン:スパイダーバース』シリーズの仕掛け人であるフィル・ロード&クリストファー・ミラー。ゴズリングの主演映画、ロード&ミラーの監督作品としても史上最大のオープニング成績となっている。
本作の興収予測値は6500万ドルだったが、作品の好評ぶりが興行を後押しした。Rotten Tomatoesでは批評家スコア95%、観客スコア96%、映画館の出口調査に基づくCinemaScoreでも「A」という高評価を獲得。IMAXなどのプレミアムラージフォーマット上映がチケット販売枚数の半分以上を占めたのも特徴で、大作ならではのスケール感が「なるべく大きなスクリーンで体験したい」という需要を高めたとみられる。
海外82市場でも6040万ドルを記録し、オープニング世界興収は1億4098万ドルに到達。これまたハリウッド映画としては今年最高、かつAmazon MGMとしても史上最高のオープニング成績だ。特に優れた成績となったのはイギリス(1020万ドル)、中国(710万ドル)、オーストラリア(500万ドル)、韓国(430万ドル)。洋画不振の傾向が止まらない日本においても興行収入4億円を超える好スタートとなった。
続編やフランチャイズ作品が依然として強い映画業界で、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は近年まれに見る例外となった。小説の映画化ゆえオリジナル脚本ではないが、非続編・非フランチャイズ作品が北米オープニング成績8000万ドルを突破したのはクリストファー・ノーラン監督『オッペンハイマー』以来、この10年で2本目。海外初動成績が5000万ドルを超えたのも、コロナ禍以降では『オッペンハイマー』と『F1/エフワン』(2025年)に続いて3本目だという。
北米における観客の男女比は男性57%・女性43%。年代別では35歳未満が55%、35歳以上が45%と、若年層に作品がうまく届いた印象だ。また出口調査によると、劇場に足を運んだ理由は「面白そうだったから」が47%、「ライアン・ゴズリング主演だから」が41%、「SF映画だから」が41%となった。