山﨑賢人はなぜ実写化を成功させるのか 『ゴールデンカムイ』における“安定感”
役と付き合う時間を重ねるほど、作品に向き合う経験を深めるほど、演じるキャラクターと俳優の結びつきは強く固いものとなっていく。スクリーン上で躍動する“杉元佐一=山﨑賢人”の強度はこれまで以上にグンと上がり、その純度も高くなる。目に映るのは山﨑賢人という俳優でありながら、どこからどう見ても杉元佐一という人間でしかない。ここまでくるとキャラクターがブレることがない。だから当然、誰よりも安定しているわけだ。
主人公の杉元もかなり現実離れしたキャラクターだが、本作には彼以上にフィクショナルな存在が何人も登場する。土方歳三は実在した人物だが、本作に登場するのは“if(=もしも幕末を生き延びていたら)”の世界線の土方(舘ひろし)だ。彼の仲間は誰もがマンガの登場人物然とした存在だし、杉元たちと敵対する鶴見中尉(玉木宏)や「網走監獄」の長である犬童四郎助(北村一輝)などは、特殊メイクによってキャラクターが成立している。
しかしもちろん、衣装や特殊メイクのみによって個々のキャラクターが成立しているわけではない。すべてはそれらを演じる俳優たちの存在ありきだ。一人ひとりの怪演や妙演が、『ゴールデンカムイ』の世界の住人たちを立ち上げてみせている。けれども優れた演技者が現実離れした役どころをまっとうしたからといって、作品そのものが成立するかは別の話。ここで重要なのが、座長=主演俳優が誰なのかということだ。
座長=主演俳優とは、いうなれば作品の核となる存在。主人公をどれだけの強度と純度で演じられるかが、作品のクオリティに大きく影響してくる。個性でいえば、杉元よりも鶴見中尉のほうが強い。しかし、これを受け止める力がなければ、玉木のあの怪演は滑ってしまっていることだろう。作品の中心に立つ“杉元佐一=山﨑賢人”の存在が揺るぎないからこそ、『ゴールデンカムイ』の世界もまた、こんなにも生命力に満ち溢れているのだ。
■公開情報
『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』
全国公開中
出演:山﨑賢人、山田杏奈、眞栄田郷敦、工藤阿須加、栁俊太郎、塩野瑛久、稲葉友、矢本悠馬、大谷亮平、高橋メアリージュン、桜井ユキ、勝矢、中川大志、北村一輝、池内博之、木場勝己、井浦新、玉木宏、舘ひろし
原作:野田サトル『ゴールデンカムイ』(集英社ヤングジャンプ コミックス刊)
監督:片桐健滋
脚本:黒岩勉
音楽:やまだ豊
主題歌:10-FEET「壊れて消えるまで」(UNIVERSAL MUSIC / BADASS)
アイヌ語・文化監修:中川裕、秋辺デボ
製作幹事:WOWOW・集英社
制作プロダクション:CREDEUS
配給:東宝
©野田サトル/集英社 ©2026 映画「ゴールデンカムイ」製作委員会
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