『ラムネモンキー』の“原点”に『北の国から』? 生きていくために必要な“空想”のススメ
いよいよ佳境を迎える『ラムネモンキー』(フジテレビ系)は、50代を迎えて人生がままならなくなってしまった3人の男たちが、中学生だった37年前の過去と向き合う物語だ。
『機動戦士ガンダム』、ジャッキー・チェン、タケちゃんマンなどの1980年代に思春期を送った男子に刺さるキャッチーなサブカル要素をふんだんにまぶしながら、「失われた30年」を生きてきた男たちの「中年の危機」と克服への道のりを描く。彼らと同じ「就職氷河期世代」「ロスジェネ世代」の人たちには、特に響く内容だろう。
中学時代にカンフー映画を作っていたユンこと吉井雄太(反町隆史)、チェンこと藤巻肇(大森南朋)、キンポーこと菊原紀介(津田健次郎)が再会し、空想じみた断片的な過去の記憶と向き合って真実を探ろうとする。そのきっかけになったのが、37年前に突如姿を消した女教師、マチルダこと宮下未散(木竜麻生)だ。
マチルダ失踪の鍵を握る? 『北の国から』のUFO伝説
第1話の冒頭、彼らの記憶の中のマチルダは、夜空に光り輝く巨大なUFOに吸い込まれて去っていく。かなり突拍子もないイメージなので、驚いた視聴者も多かっただろう。そもそも『ラムネモンキー』はSFものでもオカルトものでもないのだ。
実は、この場面にはイメージソースがある。1980年代を代表する名作ドラマ『北の国から』(フジテレビ系)の一場面だ。
倉本聰脚本の本作は、田中邦衛演じる黒板五郎が、幼い息子の純(吉岡秀隆)、娘の螢(中嶋朋子)とともに、北海道の大自然の中で生活する姿を描いたもの。1981年から2002年にかけて、テレビシリーズと8本のドラマスペシャルが放送され、いずれも高い人気を誇った。2025年の夏からは全国の地上波で再放送が行われている。
キタキツネとさだまさしのテーマ曲の印象が強い人は驚くかもしれないが、テレビシリーズの中ではUFOの話題がことのほか大きく扱われていた。
カギになるのが、東京からやってきた女教師の涼子(原田美枝子)だ。ある夜、純、螢、友人の正吉(中澤佳仁)が山の中で巨大な光を目撃する。それはまさしくUFOだった。そして、その現場には涼子先生がいた。涼子先生は純たちに自分はUFOと交信できると語り、螢をUFO見物に連れて行く。
画一的な教育を嫌い、子どもたちに慕われていた涼子だが、都会で教師をしていたときの噂が分校の父兄に届き、転任という形で姿を消す。最後の夜、純は木の上でUFOの光を浴びる涼子の姿を目撃する。
涼子とマチルダは、型破りの教師であること、謎めいた過去があって良からぬ噂が流れていること、子どもたちの憧れであること、突然UFOとともに姿を消したことなどが共通している。脚本の古沢良太は、倉本聰や山田太一の脚本を読み漁ったことが脚本家になるきっかけだったと語っており、マチルダとUFOに関するエピソードは『北の国から』を間違いなく意識していたはずだ。