『ばけばけ』蓮佛美沙子の“変身”に驚くばかり 続いてほしいトキたちの尊い日常
NHK連続テレビ小説『ばけばけ』第22週「アタラシ、ノ、ジンセイ。」が幕を開けた。3月2日放送の第106話では、トキ(髙石あかり)がラン(蓮佛美沙子)と交流を深めていく一方、ヘブン(トミー・バストウ)が“新しい人生”に思いを巡らせる。
ヘブンに創作のネタを提供することで、かつて錦織(吉沢亮)がしていたリテラシーアシスタントの役割を一部担うようになったトキ。より一層、ヘブンをサポートするために再び英語の勉強を始めるが、原因不明の眠気で集中力が欠け、なかなか上達できずにいた。
そんな中、トキはランからお茶会に招待され、ロバート(ジョー・トレメイン)の自宅へ。ランは「私ね、西洋人の旦那様がいる仲間が欲しかったの」と喜び、トキにヘブンとの馴れ初めを尋ねる。トキが「怪談で仲良うなりまして」と打ち明けると、「カイダンが好きなの!? (私も)大好き!」とラン。トキはヘブン以外に初めて趣味仲間を見つけて思わずテンションが上がるが、どうにもランとの会話が噛み合わない。それもそのはず、カイダンはカイダンでも、ランが言っているのは階段のほう。まるでお笑いコンビ・アンジャッシュのすれ違いコントのようなやりとりの末に、ようやく間違いに気づき、笑い合う2人の姿が微笑ましかった。
ちなみにランは東京にいた頃、ダンスパーティー会場のらせん階段でロバートと知り合い、恋に落ちたという。まるで童話に出てくるお姫様と王子様のような出会いだ。都会で華やかな生活を送っていたランと、ヘブンと結婚するまで貧しい長屋暮らしだったトキ。生まれも育ちも全く異なるが、どちらも温厚で少し天然なところが似ているため、フィーリングが合うのだろう。昨年はNHK夜ドラ『バニラな毎日』で、頑固で不器用なパティシエを演じた蓮佛美沙子。そのときは人を寄せ付けないオーラを放っていたが、今作では一転、高貴でありながらも、親しみやすさを感じさせる。役によって、こんなにも雰囲気をガラリと変えられるものかと驚かされるばかりだ。
生まれ育った松江を離れ、縁もゆかりもない熊本に引っ越したばかりの頃は戸惑いもあったトキ。だが、リテラリーアシスタントという自分の役目を見つけ、新しい友人もでき、ようやく熊本での生活にも馴染んできた。一方で、ヘブンは未だに違和感を拭えずにいる。トキにネタを提供してもらい、ぼちぼち執筆活動を続けているが、どうにも心が動かない。良い意味でも悪い意味でも日本の生活に慣れてしまって、目新しさがなくなってしまったのだろう。同僚のロバートからも「日本にいても、もう書くものが見つけられない。違うか?」と痛いところを突かれてしまう。
そこに、グッドタイミングでイライザ(シャーロット・ケイト・フォックス)を通じて届いた「次はフィリピン滞在記を書いてみないか」という仕事の依頼。報酬はもちろん、渡航費とフィリピンでの2年分の滞在費も負担してくれるという高待遇だ。ヘブンは思わず、「1人ならすぐにでも……」とこぼす。松江を離れるときですらも泣いて嫌がったトキを異国へ連れ出すのはかなり至難の業だろう。しかし、日本にトキを置いて、1人でフィリピンに行くわけにもいかない。なによりヘブン自身がトキと離れたくなかった。その証拠に、トキが「I want to be with you(あなたとずっと一緒にいたい)」というフレーズだけ、なぜかスムーズに発音できたことにヘブンは大喜びする。ヘブンが熱心にトキに英語を教えるのは、英語さえ習得すれば、トキが異国で暮らすことに前向きになってくれるかもしれないと期待しているから。だが、トキは何よりも家族や友人を大切にしており、その人たちがいる限りは日本を離れようとはしないだろう。トキを襲う眠気の原因もつわりなのか、病気なのか、はたまた呪いなのかは分からないが、いずれにしてもヘブンを日本に留まらせる理由になりそうだ。
ドラマも残り4週。だが、ここにきて物語が急速に進むことはない。史実では、小泉八雲は54歳の若さで生涯を終えており、セツはその28年後に64歳で亡くなっている。本作でどこまで描かれるかは不明だが、クライマックスに突入しても、今までと変わらずにトキとヘブンの尊い日常がゆっくりと丁寧に描かれていくのではないだろうか。
■放送情報
2025年度後期 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:髙石あかり、トミー・バストウ、吉沢亮、岡部たかし、池脇千鶴、小日向文世、寛一郎、円井わん、さとうほなみ、佐野史郎、北川景子、シャーロット・ケイト・フォックス
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
写真提供=NHK