ジャファル・パナヒ監督自身の投獄経験から着想 『シンプル・アクシデント/偶然』本予告
5月8日に公開されるジャファル・パナヒ監督の新作映画『シンプル・アクシデント/偶然』の本予告と本ポスターが公開された。
本作は、不当に刑務所に投獄された人々が復讐を果たそうと試みる姿を描いた復讐劇。パナヒ監督自身が二度にわたって投獄された経験と同房で出会った人々のリアルな声から着想を得て物語へ織り込んだ。
2010年から反政権を理由に禁錮6年の有罪判決を受けていたパナヒ監督。映画制作や海外渡航が20年間禁止されていたが、2023年に海外渡航禁止が解かれ、最初に着手した本作で 第78回カンヌ国際映画祭に正式参加し、イラン映画としては28年ぶりに最高賞を受賞。『チャドルと生きる』でヴェネチア国際映画祭金獅子賞、『人生タクシー』でベルリン国際映画祭の金熊賞を受賞、そして本作のパルムドール受賞により、世界三大映画祭すべての最高賞を受賞するという快挙を成し遂げた。
本作はフランスとの共同製作によりアカデミー賞の国際長編映画賞部門でフランス代表となり、脚本賞と国際長編映画賞にノミネート。カンヌ渡航前に「イランに戻れなくなるのでは?」という質問に対して、パナヒ監督は「この映画は製作されなければならなかった。私が完成させたわけだから、どんな結果も甘んじて受け入れる」と語っていた。そんな中、2025年12月、アメリカで本作のプロモーション活動中だったパナヒ監督は、明確な容疑が開示されないまま、イスラム革命裁判所から突如判決を受けた。内容は「反体制プロパガンダ活動を行った」とする欠席裁判での懲役1年に加え、2年間の渡航禁止、さらに政治・社会団体および派閥への参加禁止という厳しい措置である。
さらに、1月31日には本作でパナヒ監督とともに共同脚本を手がけ、アカデミー賞脚本賞ノミネートにも名を連ねるメーディ・マームディアンが、イラン政権の行為を非難する声明を発表後逮捕されるという事態も発生、パナヒ監督が公式声明を発表したことも世界のニュースを駆け巡った。
公開された本予告は、荒野に停めたバンから男の足を掴み、引きずり出そうとするワヒドの姿から始まる。「お前は俺の人生を奪った“義足のエグバル”だ」かつて自分の人生を台無しにした男を偶然見つけ、咄嗟に拘束したワヒド。溢れ出す怒りのまま叫びながら猛然と荒野に穴を掘り、“エグバル”を生き埋めにしようとするが、「人違いだ! やめろ!」と訴える男の言葉に、ふと我に返る。「あの男は、本当に復讐相手なのか?」。実はワヒドは、エグバルの顔を一度も見たことがなかったのだ。もし本物のエグバルでないなら、殺すわけにはいかない。真相を確かめるため、ワヒドはかつて不当に拘束された仲間たちを訪ね歩くことになる。書店を営む恩人、ウエディングフォトを撮影中のカップル、そしてカメラマン……彼らはそれぞれ、取り戻したはずの日常の姿のまま、再び過去の悪夢に翻弄されていく羽目になる。
あわせて公開された本ポスターは、どこまでも広がる荒野を背景に、かつての悪夢と向き合わされた人々の姿を捉えたもの。ともに写し出されているのは、“義足のエグバル”の疑惑をかけられた男を拘束する一台のバン。果たして捉えた男は、あの残忍なエグバル本人なのか、それとも別人なのか。
■公開情報
『シンプル・アクシデント/偶然』
5月8日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下ほか全国公開
監督・脚本:ジャファル・パナヒ
出演:ワヒド・モバシェリ、マルヤム・アフシャリ、エブラヒム・アジジ、ハディス・パクバテン、マジッド・パナヒ、モハマッド・アリ・エリヤ
配給:セテラ・インターナショナル
協力:ユニフランス
2025年/フランス・イラン・ルクセンブルグ/ペルシャ語/103分/日本語字幕:大西公子/字幕監修:ショーレ・ゴルパリアン
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