Netflixの国内作品増加によって何が変わる? “過激さ”だけではないMV的映像の強さ

 1月27日にNetflixは「Next on Netflix 2026」を開催し、2026年に配信される各ジャンルの作品のラインナップを発表した。

 中でも驚いたのは映画・ドラマといった国内実写作品の豊かさだ。

 グレーな案件ばかりを引き受ける弁護士を主人公にした柳楽優弥主演のドラマ『九条の大罪』、メディアを席巻した占い師・細木数子の波乱の人生を戸田恵梨香主演でドラマ化する『地獄に堕ちるわよ』、1960年に東宝で制作された特撮映画『ガス人間第一号』をオリジナルストーリーでリブートした小栗旬&蒼井優主演のドラマ『ガス人間』。

Netflixシリーズ『地獄に堕ちるわよ』4月27日(月)世界独占配信

 韓国で大きな反響を呼んだ人気小説を、永野芽都主演で映画化する『僕の狂ったフェミ彼女』、ある日、人々から忘れられた人気舞台俳優が再起を図る姿を描いた宮藤官九郎脚本、役所広司主演のヒューマンコメディドラマ『俺のこと、何か言ってた?』、クイズ番組で勝ち残れば政府によってどんな願いでも叶えられる近未来の日本を舞台にした山田孝之主演のSFドラマ『国民クイズ』等々。

 どの作品も実力派人気俳優が主演を務め、映画やテレビドラマで高い評価を得ている監督や脚本家が作品に参加している。

 同時に人気漫画や小説を原作とする作品も多く、どれも『全裸監督』や『地面師たち』で積み上げてきたNetflixシリーズならではのダークでセンセーショナルな題材に挑む作品となるのではないかと期待させる。

 そして何より驚いたのは、作品数の多さ。これまでNetflixの国産実写作品は数カ月に1本というペースだったが、今年はドラマ、映画合わせて10本以上ある。日本のテレビドラマには日曜劇場、月9といった放送枠があり、毎クール新作が定期的に作られ生活習慣に溶け込んでいることが最大の強みだったが、今年のNetflix作品は安定供給されることで、テレビドラマと同じくらい生活に密着した存在に変わっていくのではないかと感じた。

Netflix映画『This is I』世界独占配信中

 その予感は2月10日に配信がスタートしたNetflix映画『This is I』を観て確信に変わった。

 本作は、タレントのはるな愛の半生を基にした物語だ。松田聖子に憧れ、アイドルになりたいケンジ(望月春希)は、周囲の男の子たちと違う自分に思い悩みながらも、ニューハーフのアイとしてショーパブで働いていた。

 ある日、アイはショーパブの客として来ていた医師の和田耕治(斎藤工)と出会う。和田は当時、タブー視されていた性適合手術に取り組んでいた医師で、アイは、和田による性適合手術を受けることで、新しい自分の人生を切り開いていく。

 本作は、トランスジェンダーの性適合手術に対する偏見が今よりも根深かった昭和~平成という時代を、アイドルになりたいアイと医師の和田の視点を通して描いていく。

 アイと和田は同じ時代を生きた同志とも戦友とも言える関係で、お互いの仕事を通して励まし合う二人の関係がとても尊い。

 そして、本作最大の見せ場となっているのが、アイのエアミュージカル。2000年代に松浦亜弥の歌声やライブMCの声に合わせてパフォーマンスをする姿がテレビで話題になり、はるな愛は注目された。『This is I』では人気歌手の歌声に合わせて、アイがエアミュージカルをおこなうシーンが次々と流れ、CGを駆使した映像と大勢のダンサーによるパフォーマンスがとても幻想的で見応えのあるものとなっている。

 エアミュージカルで流れる曲は、一度は聴いたことのあるヒット曲ばかりだが、どの曲も「自分らしく生きたい」というアイの心情とシンクロしているため、歌詞がよりストレートに響く。シリアスなテーマを扱っている物語でありながら、軽やかで明るいお伽噺のように感じるのは、このエアミュージカルの力が大きいだろう。

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