『再会』直人が自身の犯行を自白する 渡辺大知の好演が想起させる『光る君へ』藤原行成
ずっと片想いをしていた岩本万季子を守るためだろうか。過去の回想シーンで、ちょっかいを出す秀之に万季子がビンタを食らわせ反感を買う様子が映し出された。あの時もまた何だか万季子にまとわりつくような視線を絡めていた秀之に嫌な胸騒ぎを覚えてしまう。この嫌な予感が的中したとしたならば、万季子を守れなかった後悔が、直人を嘘の自白に突き動かしているのだろうか。
万季子の心にいるのがずっと変わらず淳一であることをわかりながらも、一方でその淳一が地元を離れた事情も自分だけが知っている。万季子の最も近くにいるのは自分なのに淳一の代わりにはなれず、そして結局圭介が彼女の結婚相手となった。憧れの淳一のことも決して悪く言わず、自分に気持ちが向くことのないことは百も承知の万季子の悲しむ顔も見たくない。そんな直人の気持ちを考えるとやるせない。
渡辺扮する直人を見ていると、NHK大河ドラマ『光る君へ』で彼が演じた藤原行成を思い出す。様々な人の間を取り持つ調整役を担っていた行成同様に、直人も自分の気持ちよりも周囲の想いを常に優先させる。留置所の中で過去の何気ない万季子とのやり取りを思い起こしながら、親指で少し滲む涙をさっと拭う。真ん中には決して配置されることはないけれど、端っこだからこそ隅々まで見渡せてしまう、そんなキャラクターの細やかな機微を丁寧に見せてくれる渡辺のあまりにさりげない有り様はじんわりと胸に染み入ってくる。
そんな渡辺演じる直人から実は23年間同じように秘密を抱えていたと打ち明けられ、「そろそろ23年前の罪から解放されたら?」と投げかけられる淳一は、何よりの恐怖体験だったことだろう。悪気なく侮っていたかもしれない直人は、自分を遥かに上回る包容力で全てを見通しずっとそれをひたむきに隠し通したのだ。何気ない顔で、いつも通り振る舞い、さりげなく。助けないといけない、世話が焼けるちょっと頼りなく良い奴だと思っていた直人の底知れなさを、檻の向こうの彼に見たことだろう。
底知れなさと言えば淳一の彼女・今井博美(北香那)の「元気だった人も突然倒れたりするでしょ?」というやけに落ち着き払ったリアクションもどこか不穏で気になる。
23年前、拳銃を埋める秘密を共有した淳一と同級生たち。刑事となった淳一は故郷で、その拳銃が凶器の殺人事件を捜査。容疑者は初恋の相手でもある仲間の一人。淳一は過去の秘密と対峙する。
■放送情報
『再会~Silent Truth~』
テレビ朝日系にて、毎週火曜21:00~21:54放送
出演:竹内涼真、井上真央、瀬戸康史、渡辺大知、北香那、段田安則、江口のりこ
脚本:橋部敦子
原作:横関大 『再会』(講談社文庫)
監督:深川栄洋、山本大輔
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:峰島あゆみ(テレビ朝日)、中込卓也(テレビ朝日)、山田勇人(ザ・ワークス)、多湖亮太(ザ・ワークス)、大垣 一穂(ザ・ワークス)、角田正子(ザ・ワークス)
音楽:得田真裕
主題歌:優里「世界が終わりました」(BEAT SEEKER MUSIC)
制作協力:ザ・ワークス
制作著作:テレビ朝日
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