宇野維正の映画興行分析
『閃光のハサウェイ キルケーの魔女』好スタート 前作との興行形態の違いと今作の目標値
2月第1週の動員ランキングは、富野由悠季が80年代に発表した小説の映画化作品、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』シリーズの第2作、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』がオープニング3日間で動員51万1500人、興収8億4900万円をあげて初登場1位となった。昨年の12月第1週から2ヶ月間(8週連続)1位を独走していた『ズートピア2』を、ダブルスコア以上の興収で蹴落とした。
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』の興行を分析する上で、まず比較対象とするべきは前作の『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』となるわけだが、2021年6月に公開された同作とはいろいろと条件や環境が異なっていることを考慮する必要がある。4年半前に公開された『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』のオープニング3日間の動員は25万9100人、興収は5億2400万円。つまり、今回の『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』のオープニング成績は前作比で動員は197%、興収は162%。動員が約2倍と倍増しているのに比べて興収の伸び率が低いのは、前作が今作のようにバンダイナムコフィルムワークスと松竹の共同配給による通常の興行ではなく、松竹ODS事業部配給による1900円一律料金による特別興行だったから。前作の公開時には劇場限定でBlu-rayのフィジカルソフトの販売もおこなわれていたが、今作は当然まだフィジカルソフトの販売もおこなわれていない。
つまり、この4年半で『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』シリーズは、かつてのOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)作品の特別上映という枠組から、通常の映画興行へと「格上げ」されたわけだ。その過程には、2024年1月公開の『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』と2025年1月公開の『機動戦士Gundam GQuuuuuuX Beginning』の大ヒットがあった。前者は松竹系、後者は東宝系と違いはあるものの、いずれもバンダイナムコフィルムワークスとの共同配給で、今回の『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』同様、通常の映画興行として公開されていた。
劇場用のオリジナル作品として公開された『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の最終興収は53.8億円。テレビシリーズの先行上映(実際は多くの独自映像を含む別編集版)として公開された『機動戦士Gundam GQuuuuuuX Beginning』の最終興収は36.2億円。実は『ガンダム』フランチャイズはシリーズによって中心となる客層が異なっていて、その両作品もそこまで重なっているわけではないのだが、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』はどちらかと言えば後者寄り。したがって、興収40億円あたりが目標値となるのではないか。シリーズのファンとしては、この4年半でバンダイナムコフィルムワークスによる配給体制も整ったことだし、次作はもう少しインターバルを縮めて公開してもらえると嬉しいのだが。
■公開情報
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』
全国公開中
キャスト:小野賢章(ハサウェイ・ノア役)、上田麗奈(ギギ・アンダルシア役)、諏訪部順一(ケネス・スレッグ役)、斉藤壮馬(レーン・エイム役)
原作:富野由悠季、矢立肇
監督:村瀬修功
脚本:むとうやすゆき
キャラクターデザイン:pablo uchida、恩田尚之、工原しげき
キャラクターデザイン原案:美樹本晴彦
メカニカルデザイン:カトキハジメ、山根公利、中谷誠一、玄馬宣彦
メカニカルデザイン原案:森木靖泰、藤田一己
美術設定:岡田有章
美術監督:大久保錦一
色彩設計:すずきたかこ、久保木裕一
ディスプレイデザイン:佐山善則
CGディレクター:増尾隆幸
撮影監督:大山佳久
特技監督:上遠野学
編集:今井大介
音響演出:笠松広司
録音演出:木村絵理子
音楽:澤野弘之
企画・制作:サンライズ
製作:バンダイナムコフィルムワークス
配給:バンダイナムコフィルムワークス/松竹
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