『リンダ リンダ リンダ』の歴史は“終わらない” 4K版特典映像から見えた制作陣の想い

 1月21日に、『リンダ リンダ リンダ 4Kデジタルリマスター版』のBlu-rayが発売された。特典映像には、写真家・映像作家の小林光大が新たに編集した撮影当時のメイキング映像に加え、本作の監督である山下敦弘、演者であるペ・ドゥナ、前田亜季、香椎由宇、関根史織(Base Ball Bear)が当時を振り返るインタビューが収録されており、より本作の魅力を深く感じることができる作りとなっている。公開から20年の時を経て、初Blu-ray化となった本作は、今なお色褪せない魅力を放っている。例えば、ペ・ドゥナが真っ直ぐに歌う、ザ・ブルーハーツの名曲。土手を歩く4人の姿。それぞれの個性を感じさせる制服のアレンジ。本作の特典映像において、山田響子役を演じた前田亜季が本作について振り返る中で「あのときにしかだせない雰囲気とか、空気感って絶対にあると思うので、それがフィルムに映っているというのが、幸せな仕事だなあと思います。俳優って」と語っている。本作はそんな、演者を含めた作り手たち、そして同時代を過ごした観客の「青春」をまるごと閉じ込めたかのような煌めきに満ちている。

 2005年に公開された『リンダ リンダ リンダ』は、文化祭前日に突如バンドを組んでザ・ブルーハーツの曲を演奏することになった女子高生たちの本番までの数日間を描いた作品だ。当時28歳だった山下敦弘が監督・脚本を手掛けた本作は、『愚か者の身分』『平場の月』を手掛け、山下と大阪芸術大学の同期である脚本家・向井康介と山下がタッグを組んだ長編4本目の作品。毎日映画コンクールをはじめ、高く評価された『天然コケッコー』(2007年)の1作前の作品にあたる。とにかくメインの4人のキャストが魅力的な作品だが、脇を固める登場人物の配役も白眉だ。彼女たちを遠くから見守る教師・小山先生を甲本雅裕。恵(香椎由宇)の元彼役に三浦誠己。さらにはソン(ペ・ドゥナ)に思いを寄せる男子学生・マッキーを松山ケンイチが演じているなど、今見返しても完璧な布陣は、女子高生4人組を中心とした小宇宙を見事に構成している。

 特典映像を観ていて興味深かったのは、監督と演者がそこに閉じ込められた大切な「時間」を覗き込むように、愛おしく当時を振り返っていることだ。本作を「監督としての青春真っ盛りな時期の作品」だと振り返る監督は、「作った当時は照れ臭かったり、客観的に見られないところもあったんですけど、今はその照れ臭かったところが自分の泣けるポイントになっちゃって」と語る。

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