『罪人たち』『ワンバト』『国宝』 第98回アカデミー賞、納得と少しだけ困惑のノミネート
日本作品、“史上初”はあれど一歩及ばず……?
大きなトピックとしては、やはり『国宝』が長編国際映画賞を逃してしまったことだろう。ここ近年、『ドライブ・マイ・カー』や『PERFECT DAYS』、『ゴジラ-1.0』などの作品によってアカデミー賞での日本映画の存在感が高まってきたように思えただけあって、少し意外な結果だ。むしろ、先述したようにブラジル映画が、今はその代わりとして盛り上がっている印象である。とはいえ、『国宝』はメイクアップ&ヘアスタイリング賞で日本映画初となるノミネートを果たした。
そして何より、SNS上でも話題になっているのが長編アニメーション部門に2025年の北米国内興収で歴史的な存在感を見せた劇場版『「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』や、劇場版『チェンソーマン レゼ篇』がノミネート入りしなかったことだ。もちろん、これまでもアカデミー賞のノミネートにおいて興収は大きな要因ではなかった。しかし、アニメーション映画の興収ではなく総合興収において『ズートピア2』(5位)に続いて約1億3450万ドルを記録した『「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(18位)や、約7300万ドルを記録した『チェンソーマン レゼ篇』(49位)の名が挙がらなかったことは興味深い。
もちろん、どちらも単体の映画というよりはテレビシリーズの続編的立ち位置であるが故に、選ばれることの難しさの方が多い。特に外国語映画であること、アメリカ本国ではR指定であることを踏まえるとだ。しかし、後にも先にもこれほど日本のアニメーション映画が(ジブリ作品を除いて)興収面でここまで食い込むことはあるのだろうか、と考えたり、『鬼滅の刃』はゴールデングローブ賞にノミネート、『チェンソーマン レゼ篇』はアニー賞にノミネートされていたことを考えたりすると、なんだか惜しくも感じるのだ。
『ミッション:インポッシブル』も『ウィキッド』も総スカン
また、少し意外……というより戸惑いにすら感じたのは、『国宝』の北米キャンペーンにも大いに貢献したトム・クルーズの『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』の「ミ」の字もなかったこと、そして前年のアカデミー賞を盛り上げた『ウィキッド 2人の魔女』の続編『ウィキッド 永遠の約束』の「ウィ」の字もないことだ。『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』は『F1/エフワン』に敗れた印象だが、特に『ウィキッド』に関しては歌唱賞のノミネートすらなかった点は意外である。
これも先述の通り、興収が高いヒット作や人に親しまれた作品=アカデミー賞ノミネート確実というわけでもないのだが、それにしてもまるでどちらの作品も昨年に公開されていないような存在感のなさには驚きを隠せない。
2025年のハリウッドはロサンゼルスの山火事に始まり、ワーナー・ブラザーズ買収の件で幕を閉じ、波乱ばかりだった。そのハリウッドの今が反映される場所でもあるアカデミー賞。一体どのような結果になるのか、気になるところだ。