橋本環奈が継承する“ビリギャルイズム” 『ヤンドク!』『おむすび』に通底する根性演技
彼女は信念の人である。第1話で、自分の歓迎会だというのに「割り勘は嫌い」と言い放ち、テーブルに1万円札を叩きつけて去っていくシーンがあった。 損得勘定で動く人間ばかりの組織において、「損をしてでも筋を通す」というスタンスはあまりにも眩しい。
第2話では、脳に腫瘍を抱えた患者の美咲(入山杏奈)が、「絶対に髪の毛を切りたくない」と訴え、湖音波は髪を剃らずに手術することを決断。「髪の毛と命、どっちが大切なんだ?」と色めき立つ医者たちに「たぁけかっ!」と一喝し、「命が大切なのは当たり前です。でもそれと同じくらい、大切なものもあります。美咲さんにとっては、それが髪の毛なんです」と訴える。
その人がその人らしく生きるための“誇り”を守れなくて、何がドクターか? 湖音波の言葉は、データを偏重する現代医療が置き忘れてきた“心”を、強引に拾い上げる。
ここで重要になるのが、向井理演じる脳神経外科部長・中田啓介の存在だ。彼はかつて、湖音波の命を救ったヒーローだったが、再会した彼は、院長(大塚寧々)や事務局長(大谷亮平)の顔色を伺う、中間管理職に成り下がっていた(……と、湖音波は思っている)。
「13年も経てば、人は変わる」と語る中田に、湖音波は容赦なく言い放つ。「なんか先生、ダサいすわ」。この言葉は、画面の前の私たち、日々の仕事で大人の事情を飲み込み続けている、すべての視聴者の心臓を抉る刃だ。
かつて『ビリギャル』が、何者でもない少女が努力で未来を切り開く“希望”の物語だったとすれば、『ヤンドク!』は、かつて希望を持っていたはずの大人が、いつの間にか失ってしまった情熱を取り戻すための、“再生”の物語なのである。
物語は今後、湖音波という劇薬が、お台場湾岸医療センターという巨大な病巣をどう治療していくのかに焦点が移っていくだろう。彼女の行動はコンプライアンス違反のオンパレードだが、そのノイズこそが、思考停止した組織を目覚めさせる唯一のショック療法なのかもしれない。
『ヤンドク!』は、偏差値よりも気合いと愛で世界を変える、私たちへの応援歌だ。最終回まで、彼女の特攻服(白衣)が血と汗で汚れる様を、最前列で見届けようではないか。夜露死苦!
■放送情報
『ヤンドク!』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:橋本環奈、向井理、宮世琉弥、音尾琢真、馬場徹、薄幸(納言)、許豊凡(INI)、内田理央、大谷亮平、大塚寧々、吉田鋼太郎ほか
脚本:根本ノンジ
プロデュース:髙木由佳、貸川聡子(共同テレビ)
演出:佐藤祐市、淵上正人、菊川誠、朝比奈陽子
音楽:近谷直之
主題歌: Ado「エンゼルシーク」(ユニバーサル ミュージック)
制作協力:共同テレビ
制作著作:フジテレビ
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