“鬼滅声優”だけじゃない早見沙織の魅力 『超かぐや姫!』歌姫から『多聞くん』ガチオタまで
『鬼滅の刃』や『SPY×FAMILY』などの大ヒット作に出演しており、いまや女性声優のなかでも屈指の知名度を誇る早見沙織。とりわけ少年マンガを原作としたアニメで活躍している印象が強いが、実は振れ幅の大きな演技ができる実力派だ。初期の代表作から現在放送中の冬アニメに至るまで、そのキャリアを振り返ってみたい。
早見が演じるキャラクターについて、「清楚系ヒロイン」や「クール系ヒロイン」のイメージを抱いている人は多いのではないだろうか。その理由としては、キャリア初期から『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』の雪ノ下雪乃や『魔法科高校の劣等生』の司波深雪といった役を演じていたことが挙げられるだろう。最近の出演作でいえば、『鬼滅の刃』の胡蝶しのぶや『SPY×FAMILY』のヨル・フォージャーなどもこれに近い方向性だ。
いずれも早見の透明感あふれる声質にぴったり合ったキャラクターだが、その真価は演技力にあり、繊細な感情表現によってファンを魅了してきた。たとえば『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』で演じた新垣あやせは、普段の言動こそ清楚な美少女だが、親友・高坂桐乃のことになると態度を一変させて“ヤンデレ”へと変貌する。早見は声色や声の強弱を使い分けることで、そんなあやせの二面性を演じていた。
また感情を爆発させる演技も得意としており、とくに絶大なインパクトを残したのが2014年に放送された『異能バトルは日常系のなかで』の櫛川鳩子役だ。第7話では厨二病の主人公・安藤寿来に対して不満を噴出させるシーンがあるのだが、そこでは2分以上にわたる長ゼリフを披露。「厨二って何なの? 厨二ってどういうことなの? わかんないわかんないわかんないわかんない!」と涙ながらに訴えかける声は迫力満点だった。ちなみにこの場面はあまりにインパクトが強かったためかネットミームになり、2024年には「どん兵衛」のCMでパロディされることになった。
そうしたポテンシャルを見込まれてか、早見はギャップを秘めたキャラクターの役に抜擢されることも多い。おしとやかなお嬢様と見せかけて本性はギャンブル狂という『賭ケグルイ』蛇喰夢子、“できる女”の佇まいからチワワのような小物ムーブを繰り出す『ワンパンマン』地獄のフブキなどは、その代表的な役柄と言えるのではないだろうか。
そのほか振れ幅の大きさといえば、『〈物語〉シリーズ』の斧乃木余接役もかなり変わった役どころ。「僕はキメ顔でそう言った」という口癖を携えて登場するが、話し方に一切抑揚がなく、感情表現を見せることもないという独特のキャラクターだった。