『ばけばけ』髙石あかり×トミー・バストウが“心が繋がる夫婦”に 変化する松野家の実態

 ヘブン(トミー・バストウ)は、山橋(柄本時生)がシェフとして料理をふるまう山橋西洋料理店にいた。NHK連続テレビ小説『ばけばけ』第15週「マツノケ、ヤリカタ。」第75話では、日本のやり方にヘブンが慣れ親しんだ西洋の挨拶や食文化、アンティークを取り入れる新たな松野家のやり方が確立されていく。

 山橋をパイナップルで殴打してでもヘブンを見つけたい“殺し屋”……ではなく、妻のトキ(髙石あかり)は山橋薬舗の別室でヘブンを発見すると、恐ろしい形相で詰め寄っていく。トキが憤る理由は錦織(吉沢亮)と中学校で熱い議論を交わしていると嘘をつきながら、家族にも内緒で西洋料理店に通っていたから。トキは、松野家の料理が口に合わないからではないかと思い込んでいく。

 ヘブンはトキやフミ(池脇千鶴)が作る日本料理も松野家も大好き。しかし、連日の来客で疲れてしまっていた。ヘブンが初めて松江に来た時に見せた手の震え。天狗でも、鬼でも、河童でもなく、ヘブンも一人の人間だと分かっていたはずなのに。松江の、日本の宝だと過度に期待されることにヘブンは疲弊していた。宝でもないし、正座も痛い。その影響で日本滞在記の執筆も進んでいなかった。

 ヘブンが言い出せなかったのは、松野家を守るための建前だ。けれど、トキも嘘をつかれるのは嫌。家族だからこそ言えない気持ちも理解しながら、ヘブンが正直に本心を話してくれたこと、そのことに気づけなかったことをトキは謝る。

 和解したあとは、目の前にある手つかずのビーフステーキだ。その前に、さばのマリネードを口に運び、目を見開きながらも意地っ張りに美味しさを否定していたトキ。今度は顔をほころばせて「美味しい」「んん〜!」と舌鼓。ヘブンが口につけて帰ってきた“紅色”の正体も、ケチャップだったとトキは知る。

 第75話で大事なポイントは、ヘブンが一方的に日本の文化を学んでいくのではなく、トキやフミ、司之介(岡部たかし)の側も西洋の文化を理解していくことにある。馴染みのない椅子の座り方やナプキンにナイフとフォークといった食事のルール、そしてチークキスという挨拶の仕方も。それが家族として一つになること、互いに歩み寄ることだから。ようやく呼べたトキの「ヘブンさん」も、トキたちからの引っ越し祝いと引っ越しお礼としてプレゼントされた机と椅子(朝から3人で作った!?)に大喜びで早速ペンを走らせるヘブンも、全てが微笑ましい。

 ただ、一方で第15週では変わってしまった松野家に困惑するサワ(円井わん)や銭太郎(前原瑞樹)の姿も描かれていた。かつての出奔してしまった銀二郎(寛一郎)のように、周りの人物の心情を描くことにより、客観的な松野家の実態が浮かび上がってくるのは見事である。

 第16週「カワ、ノ、ムコウ。」の予告では、トキがヘブンに「英語、教えていただけないでしょうか?」と話しかけている。そこから始まる「テテポッポ、テテポッポ?」(ヘブン)、「カカポッポ」(トキ)という謎のやり取り。“川の向こう”にある天国町の人々にも焦点が当たりそうだ。

■放送情報
2025年度後期 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:髙石あかり、トミー・バストウ、吉沢亮、岡部たかし、池脇千鶴、小日向文世、寛一郎、円井わん、さとうほなみ、佐野史郎、北川景子、シャーロット・ケイト・フォックス
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
写真提供=NHK

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