佐野勇斗の芝居に表れる努力の積み重ね 『おコメの女』で俳優として“次のフェーズ”へ
佐野勇斗にとって、“2025年”は大きなターニングポイントとなる年だったはずだ。10月期放送の『ESCAPE それは誘拐のはずだった』(日本テレビ系/以下、『ESCAPE』)では民放GP帯連ドラ初主演を飾り、所属するボーカルダンスユニット・M!LKの楽曲「イイじゃん」も大ヒットを記録した。そして、念願だったグループでの『第76回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)への出演。佐野がずっと掲げてきた「M!LKでドーム公演をする」という目標に、着実に近づいていることを実感させる1年だった。
佐野を一言で表すとするなら、“努力家”という言葉が一番しっくりくる。俳優として、アイドルとして、「テレビで見ない日はない」と感じさせるほどの活躍ぶりは、想像以上に過酷な日々の上に成り立っているはずだ。それにもかかわらず、オフができればYouTubeチャンネル『佐野勇斗だぞ』の撮影を行い、隙間時間にはファンに向けた配信も行っている。ずっと佐野を追いかけてきたファンにとって、今の飛躍はそうした努力の延長線上にあるものだと映っているはずだ。
そして、その積み重ねは、俳優・佐野勇斗の芝居にも確実に表れている。1月8日にスタートしたドラマ『おコメの女-国税局資料調査課・雑国室-』(テレビ朝日系/以下、『おコメの女』)で、佐野は東大卒の財務省キャリア・笹野耕一を演じている。初登場時、多くの視聴者は笹野のことを“ひょうひょうとした人物”だと受け取ったはずだ。
たとえば、本隊が扱わない脱税事案を調査・解決する複雑国税事案処理室(通称:ザッコク)のメンバーに笹野のことを選んだ理由について、米田正子(松嶋菜々子)が、「笹野くん(みたいなエリートがいれば)簡単に潰されることはない」と言ったときのこと。普通であれば、ここで「経歴でしか見てくれていないのか……」と落ち込んでもよさそうなものだが、笹野はニッと満面の笑みを見せたのだ。
しかし、正子と2人になると、素を見せられるようになるのか、どこか陰のある雰囲気を纏うように。「さっきまでの、きゅあきゅあな笑顔はどこに行った……?」と驚きながらも、これまで笹野が抱えてきた“闇”のようなものに触れてみたくなっている自分がいた。
これまでは、『おとなりに銀河』(NHK総合)の久我一郎や、『トリリオンゲーム』(TBS系)の平学、『僕の愛おしい妖怪ガールフレンド』(Prime Video)の犬飼忠士など、“地味なオタク”というのが真骨頂になっていた佐野が、『ESCAPE』を経て、確実に役の幅が広がった印象を受ける。
“陽”の笹野も、“陰”の笹野も、どちらとも自然に演じられているからこそ、人物の奥行きが視聴者にきちんと伝わるのだ。しかも、その切り替えがちゃんとグラデーションのように丁寧につながっているため、二重人格のように見えない。これは、俳優としてのたしかな技量があるからこそ成立する表現だ。
そして、主演を務める松嶋菜々子との再共演も見逃せないポイントだ。佐野は、およそ10年前に放送されたドラマ『砂の塔~知りすぎた隣人』(TBS系)で松嶋の息子役を演じており、当時のことを「(松嶋に)たくさんフォローをしてもらった」と振り返っている。あれから長い歳月を経て、俳優としてたしかなキャリアを重ねたいま、再び同じ作品で相見えるという事実そのものが感慨深い。『おコメの女』は、佐野勇斗という俳優が次のフェーズに進んだことを静かに示す作品でもある。
主人公・米田正子が、なかなか手を出せない“厄介な”事案を扱う複雑国税事案処理室、通称“ザッコク”を創設し、個性派揃いのメンバーとともに事案と向き合っていく。
■放送情報
木曜ドラマ『おコメの女-国税局資料調査課・雑国室-』
テレビ朝日系にて、毎週木曜21:00~21:54放送
出演:松嶋菜々子、佐野勇斗、長濱ねる、千葉雄大、高橋克実、戸次重幸、大地真央、寺尾聰
脚本:g.O.A .T
演出:田村直己(テレビ朝日)、楢木野礼、塚本連平
ゼネラルプロデューサー:服部宣之(テレビ朝日)
プロデューサー:浜田壮瑛(テレビ朝日)、木曽貴美子(MMJ)、小路美智子(MMJ)
音楽:村松崇継
制作協力:MMJ
制作著作:テレビ朝日
©テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/okome/
公式X(旧Twitter):https://x.com/okome_no_onna
公式Instagram:https://www.instagram.com/okome_no_onna
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@okome_no_onna