『ノンレムの窓』はバカリズムファンなら必見 『世にも』に通じるパーソナルな奇妙さ
12月21日に『ノンレムの窓 2025・冬』(日本テレビ系)が放送される。
『ノンレムの窓』は2022年から断続的に放送されているオムニバス形式のSFショートショートドラマシリーズで、毎回2~3話のショートショートが放送される。
今回放送されるのは、バカリズム脚本の『グラデーション』と、日テレシナリオライターコンテスト2023で審査員特別賞を受賞した畑雅文が脚本を手がけた『トイレットペーパーレース』。
『グラデーション』は、東京の雑居ビルに猟銃を持って立て籠もった男・寺本(河内大和)と、彼に人質として拘束された40代の上野(山本耕史)、30代の藤木(前原滉)、女性社員の棚崎(吉住)の物語。
刑事ドラマでよくある、犯人が人質をとって立て籠もるシチュエーションを描いたドラマだが、猟銃を構えて警察に向かって大声で叫んでいる犯人と何やら小声でやりとりしている人質3人の台詞の音量のコントラストがまずは面白い。
犯人と人質が籠城しているという極限状況を描いているのだが、そんな状況でも日常の気配があり、それが小さな笑いに繋がっていくのがバカリズム脚本らしい。始めに地に足のついた非日常の中の日常を構築した後、物語は予想外のナンセンスな展開へと向かっていく。
一方、『トイレットペーパーレース』は、漫画家の明吉(浅利陽介)と喫茶店で働く久美(西野七瀬)の夫婦が、トイレットペーパーをどちらが交換するかをめぐっての心理戦を繰り広げる姿を描いたドラマだ。
共働きで家にいる時間はほぼ同じなのに、シャンプーやカレンダー、そしてトイレットぺーパーの交換をなぜか自分ばかりが担当する状況を夫が理不尽だと思う「あるあるネタ」から始まり、その後、どうやって妻にトイレットぺーパーを交換させようかと悪戦苦闘する姿が夫視点で描かれるのだが、物語が妻視点に切り替わって以降は馬鹿馬鹿しい頭脳戦を観ているような面白さに変わっていく。
どちらも、よくある状況設定から始まり、そこからじわじわと逸脱して予測不能の展開に向かう様子がコメディとして描かれている。