芦田愛菜、役所広司の迫力で入った“復讐のスイッチ” 『果てしなきスカーレット』対談

『果てしなきスカーレット』は“希望”を感じられる作品

芦田愛菜

ーーお互いのお芝居をどのように見られていましたか?

役所:華奢な身体で、こんなにパワフルな演技をするんだなと。

芦田:いやいや……!

役所:まさに、俳優さんをやるために生まれてきたような人だなと思います。芦田さんが子どものころから、日本中が彼女に心を奪われてきましたよね。いろいろな経験を経て、さらに素敵な俳優さんになられて。エンディングの曲も、「上手いな。なんていう歌手が歌っているんだろう?」と思ったら、まさかの芦田さんで。

芦田:僭越ながら歌わせていただきました……! 私が声を入れる前に、役所さんの声が入っていたんです。そこで、クローディアスの迫力を感じたというか。“この人に立ち向かっていかなければならない”というのを再確認して、スカーレットのスイッチが入ったんです。

役所:今回、こういう形で初めてご一緒できて嬉しかったです。

芦田:私こそです……! 役所さんがいらっしゃるだけで、その場の雰囲気が変わるといいますか……そういうお芝居ができるのは、さまざまな役と真摯に向き合ってこられたからこそだと思います。私も、役所さんのように素敵な役者人生を重ねていきたいと強く感じました。

役所広司

ーー細田監督の演出はどのような感じでしたか?

役所:細田監督は、いつもブースのなかに入ってきてくれるんです。外からマイクを通して声をかけるのではなく、ちゃんと近くに来て話してくれる。そういう優しさが好きです。僕は、細田監督作品のいちファンなので、今後の作品も全部参加させていただきたいですね。

芦田:毎回、私たちが録音しているお部屋に来てくださるのが、本当に素敵ですよね。録音ブースって、防音なのでひとりぼっちになった気持ちになるんです。ガラスを挟んでいると、「どんなふうに思われているんだろう?」と不安になることもあるので、実際に近くで顔を見せてくれると、すごく安心します。「このときは、どんなことを考えているんだろうね?」とさまざまな会話をさせていただきながら、一緒に進めていくことができるのでありがたかったです。

芦田愛菜

ーードラマや映画など映像作品でお芝居することが多いかと思います。声だけのお芝居となると、普段との違いを感じる部分もあったり?

役所:プロの声優さんたちって本当にすごいですよね。声だけでこんなに素晴らしいお芝居をすることができるんだ……って。でも僕はそんな技術はないので、声の芝居でも実写と変わらないようにしている気がします。動きをイメージしながら。

芦田:私も、アクションシーンだったり、叫んだりするシーンは、少し動きながらやらせていただきました。立ったままだと、イメージが湧かない部分もあるので。声にすべてを詰めるというのは難しい作業ですよね。盃を煽るシーンがあったんですけど、飲む音を出すのが難しくて……。

役所:実際に飲まなかったの?

芦田:実際に飲みながらやらせていただきました(笑)。それでも、難しかったですね。

役所広司

ーー最後に、『果てしなきスカーレット』のどういう部分を特に観てほしいか、それぞれ教えていただけますか。

芦田:スカーレットは厳しい世界を一生懸命に生きていくなかで、自己愛を見出していくんです。自分を縛ってしまっていたスカーレットが、いろいろな人の温かさに触れて、自分を愛せるようになる。スカーレットの旅を通して、希望を感じていただけるような作品になっているんじゃないかと思います。

役所:地球上から争いや戦争が完全になくなることはきっとないのかもしれません。でも、スカーレットが最後に言う“ある台詞”があるんです。聖(岡田将生)と出会ったあとのスカーレットだったら、上手くやれるように頑張ってくれるんじゃないかなと思えたんですよね。未来を生きる子どもたちにとっても、戦争のない平和な世の中にするためには、“今”をどうするかが大切なんだというのを、作品を通して感じていただけたら嬉しいです。

■公開情報
『果てしなきスカーレット』
全国公開中
出演:芦田愛菜、岡田将生、山路和弘、柄本時生、青木崇高、染谷将太、白山乃愛、白石加代子、吉田鋼太郎、斉藤由貴、松重豊、市村正親、役所広司
監督:細田守
配給:東宝、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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