松山ケンイチ、リアルな“ズレ”や“間”を大切に セリフは「ノートに書き写して覚える」

 2026年1月6日より放送がスタートするNHKドラマ10『テミスの不確かな法廷』の記者会見が12月12日にNHK放送センターにて行われ、主演の松山ケンイチをはじめ、共演の鳴海唯、遠藤憲一、制作統括の神林伸太郎が登壇した。

 本作は、自身の発達障害(ASD・ADHD)の特性を隠しながら職務にあたる裁判官・安堂清春(松山ケンイチ)が、正義感の強い弁護士・小野崎乃亜(鳴海唯)、ベテラン判事・門倉茂(遠藤憲一)らと共に、法廷に持ち込まれる不可解な事件の真実を追求していくリーガルヒューマンドラマ。NHKドラマ『宙わたる教室』の制作チームが再集結した。

松山ケンイチ

 会見冒頭、キャスト陣が口を揃えたのは、法廷劇ならではの“台本の難しさ”だった。 主人公・安堂清春を演じる松山は、「台本を読むと5分で寝てしまう病気になってしまった(笑)」と冗談めかして語り、膨大なセリフと専門用語を覚えるために、NHK大河ドラマ『平清盛』出演時のから続けているという「ノートに書き写して覚える」手法で挑んでいることを明かした。

鳴海唯

 本作のヒロインで、弁護士・小野崎乃亜を演じる鳴海は、これが初の弁護士役。「ネット辞書が欠かせない」と苦笑いしつつ、「見たことのない難しい言葉を流暢に話さなければならないため、常に勉強しながら現場に立っています」と撮影の日々を振り返った。

遠藤憲一

 会場を沸かせたのは、安堂を支える部総括判事・門倉茂役を演じる遠藤。「法廷ものは手を出さないようにしていた」と語る遠藤は、本作を「俳優人生42年間の中で一番難しい作品」と断言。「日々いっぱいいっぱいになって、ギブアップ寸前」とボヤきつつも、作品の質については「読み物としてすげえ面白い」と太鼓判を押した。

(左から)松山ケンイチ、遠藤憲一

 また、劇中でロックのギター弾き語りに挑戦したエピソードも披露。「若い頃にFコードで挫折した」という遠藤だが、役作りのためにギターを購入。自宅で妻に歌ってもらいながら練習したところ、「女房のほうがどんどん覚えちゃって、今はビートルズに入っている(笑)」と明かし、松山からも「奥様、万能すぎません?」とツッコまれる一幕で会場は笑いに包まれた。

(左から)鳴海唯、松山ケンイチ

 本作の主人公・安堂は、発達障害の特性をカミングアウトせずに社会で生きている人物として描かれる。 松山は役作りにおいて、スタッフと共に「安堂ノート」を作成。そこには安堂の服装の理由、好きなもの、苦手なこと、特有の仕草などが細かく記されているという。「ただ、それに縛られてロボットのようにはなりたくない」と語る松山は、現場の空気感や共演者とのやり取りの中で生まれるリアルな“ズレ”や“間”を大切にしていると語った。

(左から)鳴海唯、松山ケンイチ、遠藤憲一

 制作統括の神林は、鳴海の起用理由について「ずっと気になる女優さんでした。彼女の持つ“まっすぐさ”が、小野崎乃亜という役にぴったりだと感じました」と待望のオファーだったことを明かした。NHK大河ドラマ『どうする家康』でワンシーンだけ共演していた松山も「鳴海さんからは、目の前の人に対する誠実さをすごく感じる」と絶賛した。

■放送情報
ドラマ10『テミスの不確かな法廷』
NHK総合にて、2026年1月6日(火)スタート 毎週火曜22:00~22:45放送(全8回)
※毎週金曜0:35〜1:20再放送
NHK ONE(新NHKプラス)で同時・見逃し配信予定
出演:松山ケンイチ、鳴海唯、恒松祐里、山崎樹範、山田真歩、葉山奨之、小木茂光、入山法子、市川実日子、和久井映見、遠藤憲一 ほか
第1話ゲスト:小林虎之介
原作:直島翔『テミスの不確かな法廷』
脚本:浜田秀哉
音楽:jizue
演出:吉川久岳(ランプ)、山下和徳、相良健一、富澤昭文
制作統括:橋立聖史(ランプ)、神林伸太郎(NHKエンタープライズ)、渡辺悟(NHK)
写真提供=NHK

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