『WIND BREAKER』のアクションは原作に忠実? 『東リベ』『ハイロー』との違いを考察

 全世界累計1,000万部超の人気マンガを原作とした映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』が、12月5日に公開された。同作は不良高校生たちがド派手なバトルを繰り広げるという“不良アクション映画”の系譜にある作品で、人気俳優たちが大立ち回りを披露している。

 本稿では『東京リベンジャーズ』や『HiGH&LOW』シリーズといった他の実写不良アクション映画とも比較しつつ、その魅力を紹介していきたい。

映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』本予告 | 2025年12月5日(金)公開

 主人公の桜遥は、ケンカすることでしか自分の価値を見いだせない孤独な高校生。不良の巣窟として知られる風鈴高校の「てっぺん」をとるために転校してくるが、実は今の風鈴高校は街を守る存在へと変わり、“防風鈴”という通称で人々に愛されるようになっていた。防風鈴のメンバーたちと出会い、当初は強く反発していたものの、徐々に仲間意識が芽生えていく桜。しかしそこで別の不良グループ・獅子頭連との抗争が勃発する……。

 映画版は原作のストーリーをほぼ再現しつつも、人間ドラマがより強くなるように再構成しているのが特徴だ。髪や目の色により他者から拒絶されてきた過去をもち、仲間を作るのは弱くなることだと考えていた桜が、防風鈴や街の人々との触れ合いによって心を開く様子がドラマチックに描かれている。

 またバトル描写に関しては、マンガ的なスーパーアクションを華麗な身のこなしによって表現しているのが見どころで、ほどよくリアリティとケレン味のバランスを取っている。いい意味で生々しさが少なく、“痛そうじゃない”ため、不良ものが苦手な人でも安心して楽しめるはずだ。

 同じ実写不良アクション映画と比べるなら、『HiGH&LOW』シリーズよりも『東京リベンジャーズ』に近いが、さらにダメージ描写がマイルドな表現になっている。それでいて十分迫力を感じるのは、役者陣の身のこなしがなせる業だろう。

 なお作中ではケンカが人と人の“対話”と表現されており、暴力を肯定する物語ではないため、こうした表現は原作のテーマに忠実と言えるのではないだろうか。

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