『ばけばけ』吉沢亮×トミー・バストウは“訳あり”コンビ 前原瑞樹が再び朝ドラに登場 

 外国人英語教師として松江にやってきたヘブン(トミー・バストウ)。その本職は新聞記者で、来日の真の目的は日本の滞在記を書くことだった。一方、トキ(髙石あかり)は洋妾になりたいなみ(さとうほなみ)のため、ヘブンが宿泊する花田旅館に通い始める。今はまだ顔見知り程度。NHK連続テレビ小説『ばけばけ』第6週初日の第26話では、そんな2人が夫婦になる未来へとほんの少しだけ近づく。

 トキのおかげでヘブンの不安に気づくことができた錦織(吉沢亮)。「日本語は必要ない。あなたが話す言葉、あなた自身をみんなは待っている」という彼の言葉に安堵したヘブンはようやく“岩戸”の外に出て、勤務先の松江中学校へと向かう。いざ教室を目の前にすると怖くなったのか、落ち着かない様子でその場をぐるぐるするヘブンに生徒たちは訝しげ。普通は緊張していると素直に言えばいいのかもしれないが、少しでもヘブンの経歴を疑われたくなかった錦織は「ヘブン先生のスタイルだ」と誤魔化した。

 教壇に立ったヘブンは錦織に言われた通り、無理に日本語は使わず、自分の言葉で挨拶。ある程度は勉強してきたようだが、初めての生の英語に戸惑う生徒たちを安心させようとする。「私についてくれば、大丈夫」といった力強い言葉が生徒たちに響いたようで、ヘブンは初日から信頼を獲得した。

 心配だった初登校が成功に終わり、ヘブンを招聘した江藤知事(佐野史郎)もご満悦。それもこれも錦織のフォローのおかげだが、どうやら彼もまたいわくつきのようだ。ヘブンの予測不能な言動が心臓に悪いとこぼす錦織に、江藤知事は「私だって、あんたのことで似たような思いをしちょるけんね」と嫌味を飛ばす。以前は「危ない橋を渡ってまで、私は君をこの島根に呼び戻した」とも言っていた。家が貧しく病弱だったために中学を中退し、松江で無資格の教師をしていた錦織。東京でトキと出会った頃は資格を取るための勉強に励んでおり、その後合格したと言ってはいたが、果たして真相のところはどうなのか。江藤に頭が上がらないところを見るに、何か弱みを握られているのはたしか。いずれにせよ、ヘブンと錦織は“訳ありコンビ”ということだ。

 そんな中、再び錦織の頭を悩ませるような出来事が起きる。目に違和感がある花田旅館の女中・ウメ(野内まる)がまだ病院に連れていってもらえていないことを知ったヘブン。平太(生瀬勝久)が約束を破ったことに激怒し、「ココ、ジゴグ!」とまた旅館を出ると騒ぎ始めたのだ。その頃、松野家でもひと騒動が起きていた。トキと同じく貧しい家に生まれ、安定した生活を手に入れるため、子供の頃から教師を目指していたサワ(円井わん)。この新学期から、彼女はついに松江小学校で非正規教員として働くことになり、トキは野花のブーケでお祝いする。血縁上の父・傅(堤真一)が亡くなり、トキが取り乱したときはサワが抱きしめてくれた。

 喜びも悲しさも一緒に分け合う幼なじみの関係にほっこりしていると、銭太郎(前原瑞樹)という初めて見る男が松野家に現れ、借金の取り立てを始めた。銭太郎は借金取り・森山(岩谷健司)の息子で、森山が急死したために後を継いだそうだ。借金取りも、仕事始めは緊張するのだろう。玄関の前でしばらく己を鼓舞するように体を揺らしていた銭太郎。「邪魔するぞー!」という声も震え気味。朝ドラには2023年度前期放送の『らんまん』以来2年ぶり、4度目の出演となる前原が演じる銭太郎は、なんだかんだ返済を待ってくれていた森山に負けじと人の良さそうな風貌をしている。しかし、「もっと厳しく取り立てるんだった」と言い残した森山の無念を晴らそうと必死で、いきなりトキたちが隠していた店賃まで持っていってしまった。おそらく史実通り、この後はヘブンが一人暮らしを始め、トキが借金返済のために女中になる流れになるのだろう。だが、松野家にとって西洋人は自分たちが時代に取り残されることになった元凶。それなのにトキがヘブンの女中になり、やがては妻になるなんて。つくづく人生とは何が起きるか分からなくて面白い。

■放送情報
2025年度後期 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:髙石あかり、トミー・バストウ、吉沢亮、岡部たかし、池脇千鶴、小日向文世、寛一郎、円井わん、さとうほなみ、佐野史郎、北川景子、シャーロット・ケイト・フォックス
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
写真提供=NHK

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