TVerを“すべてのコンテンツ”の入口に 取締役・佐竹正任に聞く10年の歩みとテレビの価値
「テレビは面白い!」からこそできること
――現在、Mrs. GREEN APPLEが6月に神奈川・Kアリーナ横浜で開催したエンタテインメントショー「Mrs. GREEN APPLE presents『CEREMONY』」が独占無料配信中。この企画も大きな注目を集めています。
佐竹:ライブの独占配信についても、今後も取り組んでいきたいと思っています。各局の音楽番組もTVerで視聴できるようになっていますし、TVerならではの楽しみ方も提示していきたいと思っています。ドラマであれば最終回の後のエピソードやスピンオフ、バラエティの本放送に入りきらなかった部分なども魅力的なコンテンツになりえる。テレビとTVerの両方を観ていただくことで、さらに楽しみ方が広がりますし、そこはテレビ局と連携しながら拡充していきたいですね。
――バラエティ番組も根強い人気を得ていますし、TVerによって、テレビのコンテンツの魅力が幅広く伝わっている印象もあります。
佐竹:私も制作者の端くれとして、多くの番組を作ってきました。そのなかで実感しているのは、プロの制作者たちが「より面白いものを」と磨き上げるコンテンツはやはりすごいなと。ユーザー発信のプラットフォームがこれだけの広がりを見せ、数多くの映像コンテンツが配信されていますが、「やっぱり日本のテレビコンテンツは面白い」という評価は揺るがないと思っています。TVerでは、レギュラー番組で毎週700から800番組の新しいコンテンツが更新されています。これは凄まじい強みだと思いますし、これほど多くの新作が更新され続けるプラットフォームは、世界を見渡してもほかにはないだろうなと。
――確かにそうですね。
佐竹:さらに地方局にも「こんなに面白いものがあったのか」というコンテンツがたくさんあるんです。我々としては「TVerなら、キー局だけでなく地方局も含めた最新の面白いコンテンツと出会える」ということをさらに知っていただく努力を重ね、TVerのなかで回遊することの楽しさを伝えていかなくてはと思っています。
――ビジネスの側面についても聞かせてください。TVerは広告型動画配信ですが、広告媒体としての価値についてはどう捉えていますか?
佐竹:良質でプレミアムなコンテンツにアクセスできるのがTVerの特長であり、広告主の皆さまにもそこを高く評価していただいています。その理由は、ほぼすべてがテレビ由来のコンテンツで、放送法はもちろん、各局の厳格な放送基準をクリアしていること。安心・安全なコンテンツで満たされていますし、なおかつ週に700~800番組の新エピソードが更新されるので、広告媒体としての信頼性は群を抜いていると自負しています。TVer広告の売上も前年比221%の伸び率。現在もナショナルクライアントの皆さま、代理店の皆さまからの「ぜひTVerに広告を流したい」という依頼が増えていて、このトレンドは今後も続くと考えています。我々としては今後も、より良質で安心・安全なコンテンツを数多く用意することによって広告媒体としての価値をさらに高めていきたいと考えています。
10周年以降のビジョンは「すべてのコンテンツの入り口」
――10周年以降のビジョンについては?
佐竹:この後もさまざまな施策やサービスを用意していますので、ぜひ楽しみにしていてほしいと思います。もっと大きな視点では、TVerをすべてのコンテンツの入り口にしたいんです。日々のニュースや必要な情報、ドラマ、バラエティ、スポーツ、アニメ、音楽から映画まで、TVerを経由することで、必要な映像コンテンツにリーチできる。そういうプラットフォームに育てることが我々の目標ですし、全社をあげて努力していけたらなと。まさに社会のインフラとして機能し、単にコンテンツが集まっているだけではなく、1人1人に“あなたに届けたいコンテンツはこれです”と提示できる場にしていきたいですね。
――テレビ番組の制作者の皆さんに対しては、どんな思いがありますか?
佐竹:私も長い間、テレビ制作の現場にいましたので、番組を作っている皆さんの力はもちろんわかっていますし、ゼロからエンターテインメントを産み出す彼らに対するリスペクトもずっと持っています。TVerに来て実感したのは、この会社は最先端のIT企業でありITリテラシーがきわめて高い優秀なスタッフばかりなのですが、テレビ局出身である私と同様に、誰もがコンテンツへのリスペクトを強く持って日々仕事にあたっているんです。なので制作者の方々も信頼してTVerを活用していただけたらうれしいですね。
――TVerの広がりによって、テレビ番組の価値を改めて知らしめることができた。そんな実感もあるのでは?
佐竹:そうですね。テレビ由来のコンテンツがどれだけの方々に届き、どれだけ人々や社会に影響を与えられるかが、これからのテレビの価値を決める尺度。TVerが大きくなれば、それをもっと高めていけると思っています。