押井守×若林和弘、『天使のたまご』4K音響について語る 作品初の公式パンフレットも

 11月14日よりドルビーシネマ限定で先行公開、11月21日より全国順次公開される『天使のたまご 4Kリマスター』より、監督を務めた押井守と4Kリマスター音響設計監修を務めた若林和弘のインタビュー動画が公開された。

 押井が原案・脚本・監督を務め、天野喜孝が原案・アートディレクションを担当した『天使のたまご』は、1985年にOVAとして発表されたアニメーション。公開40周年を記念し、押井監督自身による監修のもと、35mmフィルム原版から4Kリマスター化され、ドルビーシネマ対応版も制作された。音響面では、オリジナルのモノラル音源をソニーPCLとソニーグループの音源分離技術で解析・分離し、5.1chサラウンドおよびドルビーアトモスに再構築。5月には、第78回カンヌ国際映画祭クラシック部門に選出され、日本公開に先駆けてワールドプレミア上映を果たした。

押井守×若林和弘『天使のたまご 4Kリマスター』対談インタビュー

 公開されたインタビュー動画の冒頭で、押井は本作を「通して観るのは(40年前の制作時以来)今日が初めて」と語り、「当時何を考えて、どこを失敗したのかを客観的に見られるいい経験」と振り返る。続けて若林は「オリジナルのテイストをできるだけ尊重し、忠実に再現したい」という押井からの要望を受け、ソニーPCLの協力を得ながら、モノラル素材をデジタルツールで分離したと語る。雨音や風の音といった効果音、そして音楽を一つひとつ再構築したという。それは「出来上がった料理を、材料に分けて、また混ぜる」ような作業だったと表現している。40年前の音を現代のフォーマットに昇華させるまでの過程や、オリジナルと同じ印象にするための“音づくり”の苦労、そして押井が「小屋(映画館)で観て聴いてほしい、情報量が全然違うので」と語るなど、本作への思いが明かされている。

 また、本作初の公式パンフレットが公開劇場にて販売されることが決定。表紙+64ページ(B5変型)仕様で、押井、天野をはじめとするスタッフ陣の最新インタビューや寄稿などが収録されている。

(左から)押井守、若林和弘

■公開情報
『天使のたまご 4Kリマスター』
11月14日(金)よりドルビーシネマ先行公開、11月21日(金)より全国順次公開
キャスト:根津甚八(少年役)、兵藤まこ(少女役)
脚本・監督:押井守
アートディレクション:天野喜孝
原案:押井守、天野喜孝(アニメージュ文庫『天使のたまご』より)
製作:徳間康快
企画:山下辰巳、尾形英夫
プロデューサー:三浦光紀、和田豊、小林正夫、長谷川洋
美術監督・レイアウト監修:小林七郎
作画監督:名倉靖博
作曲:菅野由弘
音楽監督:菅野由弘
音響監督:斯波重治
撮影監督:杉村重郎
編集:森田清次
アニメーション制作:スタジオディーン
提供:徳間書店
配給:ポニーキャニオン
海外セールス:Goodfellas Animation
©YOSHITAKA AMANO ©押井守・天野喜孝・徳間書店・徳間ジャパンコミュニケーションズ
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