『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』“原点回帰”で味わう最後の冒険
それにしても御年79歳のハリソン・フォードが、1981年からスタートしたアドベンチャー映画で、まだアクションに挑戦しているのは驚くべきことだ。なにしろシリーズ第3作『最後の聖戦』に出演していた父親役のショーン・コネリー(当時59歳)の年齢を遥かに超えて現役なのだから。
もちろん、昔も今も危険なシーンはスタントマンが担当しているだろうが、高齢のハリソンがまだまだ『失われたアーク』の延長上にあるシリーズに出続けていること自体が奇跡といえる。彼ほどの齢になれば、枯れて落ち着いた父親か祖父役を演じていても不思議ではないが、『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』(2014年)、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015年)、『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』(2025年)、そして本作と、SF/アクションの分野に果敢に挑んでいるのは実に素晴らしい。
さて、テレビ放送となれば気になるのが日本語吹き替えだが、過去のシリーズ『失われたアーク』から『最後の聖戦』までインディ・ジョーンズシリーズを始め、数々の映画でハリソンの吹替を担当している村井國夫が演じている。本シリーズ4作目『クリスタル・スカルの王国』では別の声優による吹替版が制作されて悔しい想いをしたという村井が、『運命のダイヤル』で見事に返り咲いたことで、これを機会に4作目も村井による吹替版がテレビ放送用に録り直される快挙を果たした。1985年の日本テレビ放送版『スター・ウォーズ』の頃から、ハリソン・フォードの吹き替え声優として村井を強く支持する洋画ファンも多く、今回の地上波放送は村井國夫の声で喋るハリソン・フォードを堪能できるわけだ。
ハリソンは2022年9月のカリフォルニア州の映画祭に登壇し「これで最後です」と挨拶している。(※1)また、2023年7月に豊洲のシネコンで『運命のダイヤル』の舞台挨拶に立った村井國夫へ向けたビデオメッセージでも「(インディの)長旅に付き合ってくれてありがとう」と話しており(※2)、インディ・ジョーンズの冒険はこの映画をもって終わりとなりそうだが、劇場公開を見逃した人も含め、今回の地上波放送で見届けていただきたい。
参照
※1. https://www.vogue.co.jp/celebrity/article/harrison-ford-last-time-in-the-role-indiana-jones-5
※2. https://www.youtube.com/watch?v=uAcjq3BJl7c
■放送情報
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』
日本テレビ系にて、10月17日(金)21:00~23:59放送(65分拡大)
出演:ハリソン・フォード(村井國夫)、フィービー・ウォーラー=ブリッジ(坂本真綾)、マッツ・ミケルセン(井上和彦)、ジョン・リス=デイヴィス(宝亀克寿)、アントニオ・バンデラス(大塚明夫)、ボイド・ホルブルック(中村悠一)、シャウネット・レネー・ウィルソン (藤田奈央)、トーマス・クレッチマン(根本泰彦)、トビー・ジョーンズ(佐々木睦)、イーサン・イシドール(木村皐誠)
監督:ジェームズ・マンゴールド
脚本:ジェームズ・マンゴールド、ジェズ・バターワース、ジョン=ヘンリー・バターワース、デヴィッド・コープ
製作:キャスリーン・ケネディ、サイモン・エマニュエル、フランク・マーシャル
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ、ジョージ・ルーカス
撮影監督:フェドン・パパマイケル
プロダクション・デザイナー:アダム・ストックハウゼン
衣装デザイナー:ジョアンナ・ジョンストン
編集:アンドリュー・バックランド、マイケル・マカスカー、ダーク・ウェスターヴェルト
音楽:ジョン・ウィリアムズ
©2023 & TM Lucasfilm Ltd.