『ばけばけ』キャスト陣も“しじみ汁”で回復? 北川景子の想いが反映された撮影秘話も

 髙石あかりがヒロインを務めるNHK連続テレビ小説『ばけばけ』が現在放送中。松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々を描く。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語。

 第3週、松野家に婿入りした銀二郎(寛一郎)が祖父・勘右衛門(小日向文世)から武士としての厳しい指導を受ける中、トキ(髙石)は体調を崩した傳(堤真一)の看病を続けていた。第14話では、そんな傳のために母・フミ(池脇千鶴)がしじみ採りに。そして、ケガをしたトキに代わって料理未経験のタエ(北川景子)がしじみ汁を作ることになる。

 制作統括の橋爪國臣は「ここはきっと、擬似親子のようなシーンだと思うんです。すごくほほえましく見えますが、北川さんはタエの気持ちについて監督にいろいろとご提案されていました」と、2人の料理シーンを振り返る。

「北川さんご自身も母親ですし、タエにとってトキは養子に出したとはいえ自分の子。『絶対に表には出さないと決めているけれど、母親としてこういう気持ちで接するよね』と、たくさんディスカッションをした上であのシーンを撮っていました。ちょっとした目くばせだったり、距離感だったり、言葉の合間だったりに、その思いが滲み出る温かなシーンになったと思います」

 私生活では料理上手で知られる北川だけに、「『本当に(料理のことを)何も知らないんだろうな』と思わせるところがすごいですよね」と橋爪。また、料理指導はNHK大阪放送局制作の朝ドラに長年携わってきた広里貴子が担当しており、現地での丁寧なリサーチが作品づくりを支えている。

『スカーレット』における“料理”の役割とは? 細部までこだわり抜かれた生活のリアル

NHK連続テレビ小説において、どの物語でも重要な役割を担っているのが“食事”のシーンだ。現在放送中の『スカーレット』でも、主人公…

「広里さんには松江に数日間滞在していただいて、市場や漁港、地元の料亭や家庭料理のお店で、どのようにしじみを料理しているのか取材してもらいました。しじみの洗い方を含め、広里さんが細かく取材メモを作ってくれていて、それを生かしながら台本を作っています。しじみはガシャガシャと洗うのではなく、コロコロと洗う。そこは、広里さんに調べてもらった内容を採用しています」

 一方で、“味噌の量は椿の花くらい”、“味噌はお茶を点てるように溶く”といった表現は、脚本のふじきみつ彦によるもの。

 橋爪は「松江はお茶の町で、不昧流という松江にしかない流派もある。ちょっとしたお宅に上がって『お茶でも飲んでいきますか?』という場面でも、煎茶ではなく点てたお茶が出てくるくらいに、今でもお茶の文化が根づいた町なんです。ふじきさんとは、そこをタエと結び付けられたら面白いよね、と話しました」と明かし、「『味噌を溶いてください』ではなく、タエの得意分野で伝えてあげるところにトキの思いやりも感じられる。すごく素敵な親子のシーンになったと思います」と続けた。

 なお、しじみ料理の撮影にはすべて宍道湖産のしじみを使用。橋爪は「しじみ汁を作るときには、現場がすごくいい匂いになるんです。裏で味噌を溶かしたり、しじみのお出汁を取ったりするので、温かく家庭的な気分で撮影できています」とし、休憩時間にはキャスト陣もご飯と一緒にしじみ汁を飲んでいる、とのエピソードも披露。現場には劇中同様「あぁ~」と多くの声が響くのかと思いきや、「本当においしいときには、言葉が出てこないんですよ」と笑わせた。

 同じく第14話では、トキが傳におかゆを食べさせるシーンも登場。あまりに自然な髙石と堤の芝居について、橋爪は「本当に素でやっているように見えますよね」と感嘆する。

 共に“トキが実子であること”を明かしかけたと語った傳とタエ。複雑な思いが交錯する親子関係は、この先どんな結末を迎えるのだろうか――。

■放送情報
2025年度後期 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:髙石あかり、トミー・バストウ、吉沢亮、岡部たかし、池脇千鶴、小日向文世、寛一郎、円井わん、さとうほなみ、佐野史郎、北川景子、シャーロット・ケイト・フォックス
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
写真提供=NHK

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