『じゃあ、あんたが作ってみろよ』勝男×鮎美の切ない変化 竹内涼真と夏帆から目が離せない
しかしその勝男の変化の一端に触れ、鮎美は動揺するだけでなく、自分がいなくても彼の生活が回っているように感じてしまったようだ。酒屋の店員・ミナト(青木柚)からの「楽しそうにテキーラ飲んでいるお姉さん、かわいいです」という言葉が鮎美の背中を押し、黒髪のウィッグをつけた状態ではなくピンク髪のまま勝男の自宅に向かわせる。
とはいえ、きっと勝男の反応を気にしながらも向かった鮎美の心配をよそに、ピンク髪の自分に少し戸惑いながらも、会社の後輩とまさかの料理をする予想外の彼の姿に鮎美自身の気持ちが付いていけなかったのかもしれない。自分がいなくなってもっと困っているかと思いきや、自分だけが担って当然だと思っていた手料理に今や勝男が取り組んでいる。それに加えて「レシピだけ教えてくれたらいい」という言葉が、鮎美には「レシピさえ教えてくれたらあなたは用無しです」に聞こえてしまったのではないだろうか。あるいは、誰よりも近くにいたはずの自分は変えられないと諦めていた勝男の頑固な価値観が、いとも簡単に会社の後輩たちによって変えられていると勘違いし、寂しさや自分の無力さを感じたのかもしれない。つい最近まで確実にそこにあったはずの自身の居場所が急になくなったように思えたのかもしれない。ごちゃ混ぜになった処理しきれない思いに、後輩の白崎(前原瑞樹)が見つけた筑前煮の隠し味の顆粒出汁がとどめとなり、いたたまれない気持ちで逃げ出したくなったのだろう。
それを見て「無理させてたの気づかなかった」と自分の不甲斐なさを悔いる勝男の姿こそ、鮎美に知ってもらいたいところだ。
勝男に初めて出会ったときには「条件なんか吹っ飛ぶくらい理屈じゃないって思った」ことを思い出した鮎美は、勝男自身のことが無理というよりは、勝男の前になると途端に彼の顔色ばかり窺ってしまう自分をやめたかったのだろう。なんだか切ない2人の変化が交差し合う中、次週勝男に新たな出会いがもたらされるようだ。互いに新しい世界に出会うたびに、互いのことを思い出す勝男と鮎美がどこでまた交わるのか、目が離せない。
谷口菜津子による同名漫画を原作としたロマンスコメディ。「料理を作る」というきっかけを通じて、“当たり前”と思っていたものを見つめ直していく男女を描く。
■放送情報
火曜ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜22:57放送
出演:夏帆、竹内涼真、中条あやみ、青木柚、前原瑞樹、サーヤ(ラランド)、楽駆、杏花
原作:谷口菜津子『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(ぶんか社『comicタント』連載)
脚本:安藤奎
演出:伊東祥宏、福田亮介、尾本克宏
プロデューサー:杉田彩佳、丸山いづみ
編成:関川友理
音楽:金子隆博
主題歌:This is LAST「シェイプシフター」(SDR)
制作:TBSスパークル、TBS
©TBSスパークル/TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/antaga_tbs/
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